分電盤の鍵の開け方や種類、法律の設置義務などを解説

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家やオフィスに必ず設置してある分電盤は、電気を安全に使用するために必要な装置が収められている設備です。
一般家庭では玄関など屋内に設置されることが多いですが、オフィスビルや商業施設では、屋外に設置されることもあります。不特定多数の人が行き来する場所ですと、防犯のために鍵の取り付けを検討される場合もあるでしょう。

この記事では、次の内容について解説します。

  • 分電盤の基本知識
  • 分電盤の鍵(役割や種類)
  • 分電盤の鍵と法律
  • 分電盤の鍵を紛失した場合
  • 分電盤の鍵のおすすめ商品

分電盤の鍵の取り付けを検討している方は、ぜひ参考にされてください。

目次

分電盤とは

分電盤とは

まずは、分電盤とはどのような設備なのかをご紹介します。

分電盤やブレーカーの違いや種類に関してはブレーカーの見方や違いを分電盤の仕組みから解説!より詳細に解説しておりますので是非ともご参照ください。

1.1.分電盤の役割

分電盤とは、配電盤から供給を受けた電気を、効果的かつ安全に管理・配分する役割を持つ設備です。以下に、その主な役割を示します。

電力の受け入れと配布

発電所から供給された電気を受け入れ、異なる回路や電気機器に配布する役割を持ちます。オフィスなどの大型の建物では、配電盤(発電所からの送電を分電盤に供給する設備)を介して電気を受けていることが多いです。配電盤の変圧器で電圧が100Vもしくは200Vに変圧されて分電盤に送られます。

過電流や短絡の防止

過電流や短絡が発生した際に、これを防ぐために回路を制御し、適切に切り離す機能を有しています。その機能を主に担う装置がアンペアブレーカーと安全ブレーカーの2つのブレーカーです。それぞれ、電気を使い過ぎた時、各回路の過電流や短絡が起きた時に作動するようになっています。

電気の安全性確保

分電盤は電気の利用を安全に保つための機能を持ち、異常が検出された場合には電源を遮断することがあります。その機能を主に担うのが漏電ブレーカーです。漏電ブレーカーは漏電が起きた時に電源を遮断し、事故の発生を防ぎます。

1.2.主要な部品や機能

分電盤には配電盤からの配線や各回路に分岐される配線などもあり、中を開けてみると複雑な構造をしています。また、分電盤は複数の部品や機能から構成されています。主なものには以下があります。

回路ブレーカー

過電流や短絡を検知し、回路を遮断する装置。(分電盤の役割を参照)

ヒューズ

過電流が流れ込んだときに溶断して電気を遮断する保護装置です。溶断特性を持たせるため、融点が低い金属が使用されています。

メーター

使用電力を計測するための計器です。昨今は、通信機能を持ったスマートメーターの普及に伴い、オフィスビルでもアナログのメーターからデジタルのメーターに移行するケースが増えています。

スイッチ

特定の回路や機器をオンまたはオフにするためのスイッチです。

2.1.なぜ分電盤が必要なのか?

なぜ分電盤が必要なのか?

ここからは、分電盤の安全性について解説していきます。第一に、分電盤の必要性についてです。

電力の効果的な配分

電力は回数やフロア、部屋によって複数の回路に分けられます。電気を適切に配分することで、異なる機器や回路に均等に電力を供給できるのです。

過電流や短絡からの防御

分電盤は過電流や短絡から発生する火災や機器の損傷を防ぐため、これらの異常を検知し遮断する機能を有しています。

2.2.分電盤がないとどのようなリスクがあるのか?

分電盤がないと数々のリスクが生じます。以下で、具体的にどのようなリスクがあるのか解説します。

火災の危険性

もし分電盤がなかったら、過電流や短絡が制御されないため、それが発熱や火花を生じ、火災の原因となります。

機器の損傷

適切な電力制御がないと、機器が過負荷や異常な電流に晒され、損傷する可能性があります。

人身事故のリスク

電気の無秩序な流れは感電の危険性が高まります。分電盤がないと、適切な安全対策が取られていないため、感電などの人身事故が発生するリスクが高まります。

分電盤の鍵の役割と種類

分電盤の鍵の役割と種類

ホームセンターやオンラインショップなどでは、分電盤用のカギが販売されていることをご存知でしょうか。分電盤を安全に管理するために、分電盤に鍵を付けることを厚生労働省や電気保安協会なども推奨しています。

ここでは、分電盤のカギの役割や種類についてご説明します。

1.分電盤の鍵とは?

本来、分電盤は開ける行為自体に危険を伴うもので、漏電遮断器のテストですら電気工事士の資格が必要です。それほど慎重に取り扱わなければならない設備ですから、鍵を付ける意味も大きなものになります。

電気工事士に分電盤の点検をご検討の方はこちらの記事をご参照ください。【漏電とは?】 症状、原因の調べ方、解決方法を説明ブレーカー点検にかかる費用をご紹介しております。

1.1.鍵が果たす役割

分電盤の鍵は、主にアクセス制御と安全性確保のための手段として重要な役割を果たします。その具体的な役割には以下の項目が含まれます。

◆アクセス制御

通常、分電盤は一般に制限されたエリアに配置されますが、特定の人(分電盤の管理者など)以外のアクセスを制御するために鍵が使用されます。これにより、権限のない者が分電盤にアクセスすることを防げます。いたずらや悪意を持った第三者による、不正な操作や意図しない利用から電気を守る役割があるのです。

◆セキュリティ強化

鍵を用いることで、誤った操作や不正アクセスから分電盤を保護し、電気の適切な配分と安全性を確保します。
あくまでも一例ですが、大型商業施設の分電盤をイタズラ目的で操作した人がいて、建物全体が停電してしまったなら大変な事態になると想定できます。

1.2.なぜ鍵が必要なのか、その背後にある理由

分電盤に鍵が必要になる背景として、日本の治安の悪化が挙げられます。ですので、分電盤用キーの取り付けは、主に不正アクセス防止と安全確保が目的になります。

◆不正アクセス防止

鍵を使用することで、権限のない人、いたずらや悪意を持った第三者による、不正な操作や意図しない利用を防ぎます。

実際に、電気工事士の資格がない人や取り扱い権限がない人が勝手に操作をし、事故に発展した事例があります。もし、キーさえついていれば、そういった事故が起きることもなかったでしょう。分電盤用のカギを使用することは、人身事故を防ぐだけでなく、人命を守る意味でも重要です。

◆安全確保

分電盤は高電圧を扱うため、無制限のアクセスは危険です。鍵がなければ、誤った操作によって事故や損傷が発生する可能性があります。

2.鍵の種類

分電盤用のカギと一言でいっても、その種類はさまざまです。形状が違えば性能や特徴、価格にも違いがあります。

2.1.一般的な鍵の種類

まずは、一般的に普及している分電盤用キーの種類をご紹介します。

◆物理的な鍵

伝統的な金属製の鍵とロック機構を使用するタイプ。一般的に手動で操作します。賃貸マンションやオフィスの玄関ドア、自動車、キャビネットなどあらゆる場面で使用する機会のある鍵です。

◆電子鍵

暗証番号やカードを用いた電子的な認証方式。特定の番号を知っている人や、カードを所有している人しかアクセスできないため、より高度なセキュリティを提供します。

◆生体認証鍵

指紋認証や虹彩スキャンなどの生体情報を使用してアクセスを許可する鍵です。登録されている生体情報でなければ操作ができないため、電子鍵よりもさらに不正アクセスのリスクが減少します。

【よく使われている鍵】
実は、分電盤などが入っているキャビネットには、同じ鍵が使われていることが多いです。例えば、自分の会社で使っている鍵で、他の会社の分電盤が開けられるかもしれません。
ちなみに、業界内で有名なのは「タキゲンの200番」と呼ばれる鍵です。また、他にもいくつか定番とされている鍵があります。

2.2.高度な鍵の種類

続いて、近年の防犯意識への高まりやIT技術が反映された高度な鍵の種類をご紹介します。

◆スマート鍵(スマートロック)

スマートフォンや専用のアプリを使用して制御される鍵です。多くの商品がリモートからもアクセス可能で、スマホで分電盤キーの施錠管理もできる便利な機能を備えています。

◆二重認証鍵

複数の認証要素(例: カードとパスワード)が必要な鍵です。二重認証を突破しなければならないため、不正アクセスが難しく、セキュリティを向上させます。

分電盤の鍵で保護する重要性と法律

分電盤の鍵で保護する重要性と法律

この項目では、分電盤の鍵を保護する重要性と法律による設置義務、キーを失くした時のプロセスなどを解説します。

3.分電盤の鍵を保護する重要性

分電盤の鍵で分電盤内の装置や配線を保護することには、大きく分けて二つの重要な意味を持ちます。

3.1.なぜ鍵による保護が必要か?

まずは、鍵を用いて分電盤を保護する必要性についてご説明します。

◆不正アクセス防止

鍵が保護されていない場合、不正アクセスが容易になります。保護された鍵は、不正なアクセスから分電盤を守ります。第三者による悪意をもった操作を防ぐには、物理的な鍵よりも電子鍵や生体認証鍵、高度な鍵などセキュリティ性能の高いキーをおすすめします。

◆システムの安定性

分電盤に簡単にアクセスできるようになっていると、電気系統に不具合が起きた際に、分電盤の管理者など権限のある人以外が勝手に操作してしまう可能性があります。分電盤の鍵が保護されていることで、誤った操作からくるシステムの不安定性を防ぎます。

3.2.鍵を不正アクセスなどから保護する手段

分電盤を鍵で保護するのは、不正なアクセスを防止したり、システムの安定性を維持したりするのに効果的です。では、鍵を確実に保護する手段にはどんなものがあるのでしょうか。

◆強固な鍵管理

鍵の配布や管理は慎重に行われるべきです。権限のある者にのみ鍵を提供し、不正な取得を防ぎます。物理的な鍵や電子錠のパスワードなどは、権限のない人の目に触れない所に管理しておくべきです。

◆監視とアラームシステム

分電盤の鍵の使用履歴を監視し、不正なアクセスが検知された場合にはアラートが発報されるシステムを導入することが有益です。最新のスマートロックなどでは、アプリから鍵の開け閉めの履歴をチェックできるため、不審な操作は一目瞭然です。

分電盤の鍵の適切な管理と保護は、電気の適切な利用とセキュリティ確保において不可欠です。

4.分電盤の鍵の法律と設置義務

分電盤の鍵の法律と設置義務

分電盤の鍵を設置する上での法律的な設置義務はないとされています。

しかし、消防庁の配電盤及び分電盤の基準より、キャビネットに設ける「ハ 扉用把〔とつ〕手及びかぎ」は、定められた耐火試験に合格した製品のみを取り付けるように呼びかけがされています。

消防庁の配電盤及び分電盤の基準をチェックする

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①キヤビネットを取り付けた状態で加熱したとき、八百四十度プラスマイナス八十四度の温度を三十分間以上保つことができるものであり、かつ、炉内に極端な温度むらを生じないものであること。

②加熱炉内の温度測定は、JIS C 一六〇二(熱電対)に規定する素線の線径が一ミリメートルの〇・七五級以上の性能を有するCA裸熱電対及び自動記録計を用いて、別図第四に示すA点及びB点で行い、かつ、A点で温度制御を行うこと。

消防庁の配電盤及び分電盤の基準より、引用

法律の内容は国や地域によって異なりますが、分電盤を鍵付きにすることに関する法律や規制がいくつか存在します。これらの法律や規制は、主に公共の安全と電気の適切な管理を確保するために設けられたものです。

以下は一般的な傾向や要点です。(※実際には該当する国や地域の法律に基づいて取り扱う必要がありますので、詳細な情報は確認するようにしてください。)

4.1.電気安全法や建築法

多くの国や地域では、電気の安全に関する法律や建築法が存在します。これらの法律は、電気設備に関する基準やセキュリティ対策を定めています。

日本の電気工事士法では、電気配線を接続する作業等は電気工事士の有資格でないとできないと定められています。資格保有者以外の分電盤へのアクセスを防ぐためにも、鍵の取り付けは重要です。

4.2.工業規制

一部の国では、特定の産業や施設において分電盤に鍵を取り付けることが法律で要求されることがあります。これは主に産業安全や労働者の安全を確保するためのものです。

4.3.アクセス制御に関する法律

分電盤は通常、制限エリア内に配置されます。アクセス制御に関する法律や規制は、これらのエリアへの不正アクセスを防ぐため、鍵の使用を要求することがあります。

日本には労働安全衛生法に基づいて制定された「安衛則(労働安全衛生規則)」というものがあり、この規則が分電盤のカギに関連します。例えば、次の項目が当てはまります。
・電気機械器具の囲い及び絶縁覆いの点検を毎月1回以上行う(安衛則353)
・分電盤の位置を良好にし、扉を開け放たない(安衛則338)
※参考:農林水産省|土木工事等施工技術安全指針

5.分電盤の鍵の開け方

分電盤の鍵の開け方

万が一、分電盤の鍵を失くしてしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

5.1.速やかな報告と対処

◆報告

分電盤の鍵を失くしたら、速やかに関係者や管理者に報告します。これにより、適切な対応が早急に行われることが保証されます。

◆アクセス停止

分電盤の鍵がない状態でセキュリティを確保するために、失われた鍵に関連するアクセス権を即座に停止します。

5.2.分電盤の鍵の交換または再発行

◆分電盤の鍵の交換

分電盤のセキュリティを確保するために、失われた鍵の代わりに新しい鍵を取得することが必要です。これにより、古い鍵を利用した不正アクセスを未然に防ぎます。

◆分電盤の鍵の再発行手続き

もし電子鍵やカードなどの高度なアクセス制御が採用されている場合、再発行手続きを開始し、古い認証情報を無効にします。

5.3.セキュリティプロトコルの強化

◆新しい鍵の取り扱い

新しい鍵を取得した場合、その取り扱いには十分な慎重さが求められます。新しい鍵を紛失しないように、関係者に対して適切な教育を行います。

◆アクセスログの確認

分電盤へのアクセスログを定期的に確認し、不審なアクティビティがないかを監視します。これにより、失われた鍵を用いた不正なアクセスを早期に検知できます。

コーナン、タキゲンなどのおすすめ商品

分電盤の鍵はホームセンターで購入することもできますが、最近では工具を取り扱うオンラインショップで購入する方が増えています。ここでは、コーナンや楽天、Amazonなど主要ショップで人気の分電盤用キー商品をご紹介します。

デンサン 盤用マルチキー BMK-4

デンサン 盤用マルチキー BMK-4
※コーナン通販サイト引用

従来から使用されている分電盤の鍵に対応しているため、一般的な分電盤や配電盤を点検、修理する際の合鍵として使用できます。マスターキーを紛失したなど、手元に鍵がなくても分電盤の開錠・施錠ができる商品です。

メーカーデンサン
品番BMK-4
サイズ80×80×2.6㎜
重量32g
材質スチール製


タキゲン キーハンドル No.0061-H

タキゲン キーハンドル No.0061-H
※Amazon公式サイト引用

分電盤用キーでおなじみのタキゲン製の分電盤用ハンドルキーです。鍵とハンドルが一体になっているため、開錠や施錠が楽におこなえます。汎用タイプのキーよりも頑丈ですので、長く使用できます。

メーカータキゲン
品番No.0061-H
サイズ52㎜
重量70g
材質亜鉛合金、クロムメッキ(表面仕上)

コクサイ盤用マルチキーBMK-13+ 配電盤・分電盤用 13タイプ対応

コクサイ盤用マルチキーBMK-13+ 配電盤・分電盤用 13タイプ対応
※楽天ショッピング公式サイト

1つで13種類以上のカギに対応できる便利なマルチキーです。定番のタキゲン500番からTAK50(200番)、旧型、現行型まで幅広い鍵の開錠・施錠ができます。同じ建物で複数の分電盤を管理している場合も、キーを複数持ち歩く必要がありません。

メーカーコクサイ
品番BMK-13+
サイズ全長約86㎜×厚み約26㎜×幅15㎜
重量120g
材質

分電盤の点検や修理は電気工事店にお任せください

分電盤の点検や修理は電気工事店にお任せください

分電盤の鍵が持つ役割は非常に多く、また重要なものばかりです。もし、まだ分電盤用のカギを取り付けていない場合は、新たな取り付けを検討しましょう。

ただし、実際に分電盤の点検や修理をするには専門的な知識が必要であり、配線作業には電気工事士の資格が必要です。分電盤や電気系統の不具合がある場合は、電気工事士の資格を持つ人に相談してください。

DENKI110では、分電盤やブレーカーの点検修理を承っております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

※ページ内に記載されている金額は一例です。対応業者や対応箇所の状況によって実際の金額が異なる場合があります。


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