ブレーカーの交換時期は?寿命や交換するべきタイミングも教えます
家電製品に寿命があるように、電気を供給するためのブレーカーも経年に伴い劣化するものです。住宅の目立たない場所にあることの多いブレーカーですから、普段はあまり気にしないかもしれません。
しかし、家のブレーカーがかなり古いものだと、何かのきっかけで寿命や交換のタイミングを考えることがあるでしょう。実際のところ、ブレーカーの交換時期や寿命、タイミングはどんな時に行うものなのでしょうか。
この記事では、ブレーカーについて、以下の内容を解説します。
・ブレーカーの種類と役割
・ブレーカーの交換時期(タイミング)
・寿命以上に使用した際の危険性
・ブレーカーの交換の一般的な費用
ブレーカーの交換を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ブレーカーの種類と役割
まずは、住宅分電盤にあるブレーカーの種類をおさらいしておきましょう。ブレーカーには3種類あり、それぞれ異なる役割を持っています。ブレーカーの重要性も改めて理解してください。
アンペアブレーカー(過電流保護装置)
アンペアブレーカーは、分電盤の左端にある(あるいはスマートメーターの場合は内部に機能が搭載されている)ブレーカーのことです。
◆役割
電気回路において定められた電流、つまり電力会社との契約アンペアを超える過電流が流れるのを防ぎ、電気設備や機器を保護するために設置されます。異常な電流が流れると、アンペアブレーカーが自動的に回路を遮断し、機器の損傷や火災のリスクを低減します。
漏電ブレーカー(地絡保護装置)
漏電ブレーカーは、分電盤の中央(スマートメーター導入の場合は左端)にあるブレーカーのことです。
◆役割
漏電ブレーカーは、電気回路から漏れた電流を検知し、人体に危害を及ぼす可能性のある漏電を防ぐために使用されます。漏れた電流が設定された値を超えると、漏電ブレーカーが回路を遮断し、電気システムの安全性を確保します。
安全ブレーカー(断熱保護装置)
安全ブレーカーは、分電盤の右端にある、小さな複数のスイッチで構成されるブレーカーです。
◆役割
安全ブレーカーは、各回路に過電流が流れるのを防ぎ、電気設備が過熱して発火することを防ぐために用いられます。電気回路や機器が異常な発熱を示すと、安全ブレーカーが作動して電源を遮断し、火災のリスクを低減します。通常、これは過熱を検知する温度センサーを利用しています。
これらのブレーカーは、電気設備の安全性を確保し、異常が発生した際に迅速に電源を遮断することで、建物内の人や資産を保護します。異常が検知されると、これらのブレーカーは自動的に動作して電気回路を遮断し、問題の修復が行われるまで電源を再開しません。 |
ブレーカーを交換するべき時期
ブレーカーは私たちが生活する上で必要となる電気を見守っている設備ですから、万が一トラブルが起きて正常に作動しなくなったら、あらゆる不利益が想定されます。ブレーカーの寿命だと判断できる時には交換すべきです。
では、具体的にどのような場合が交換時期だといえるのでしょうか。
ブレーカーの寿命や交換時期
ブレーカーの一般的な寿命は10~15年程度といわれています。
法定耐用年数
法定耐用年数より、ブレーカーには明確な耐用年数は定められておらず、交換推奨時期は12~15年とされています。
日本電機工業会
日本電機工業会の「低圧機器の更新推奨時期に関する調査報告書」より、記載されている交換推奨時期は、配線用遮断器15年、漏電遮断器15年となります。
上記はあくまでもブレーカーの交換推奨時期の目安と捉えてください。設置場所の環境(温度、湿度、埃など)や使用頻度、使い方によって寿命が前後する可能性があります。
ですから、10年未満で交換時期がくることもあれば、10年以上問題なく使用できることもあるのです。
とはいえ、ブレーカーには安全に電気を使用するための重要な役割があるため、常に不具合なく使用できる状態でなくてはなりません。10年に一度は業者に点検してもらい、15年程度で交換することが推奨されます。
ブレーカーの交換推奨時期
ブレーカーを設置してから寿命年数の目安に達していようがいまいが、ブレーカーの不具合が多い、調子が悪い、明らかに劣化しているという時は、交換を検討してください。具体的には、以下のタイミングが挙げられます。
異音がする
通常、ブレーカーから音が聞こえるということはありません。そのため、ブレーカーからいつもと違う音がする場合は、何らかのトラブルが起きている可能性があります。異音の種類によって不具合や対処法が異なります。
ブーン
ブレーカーから「ブーン」という唸り声のような異音がする時は、ブレーカーに過電流が流れている可能性があります。一度に使う電気の量を減らす、電線を適切な太さにし、定格電流を上げることで対処してください。
また、それ以外には、負荷機器の高周波が歪み波形を生じさせ、ブレーカー内部の金属が振動していることが考えられます。歪み波形の原因になる電気機器は、電子レンジやインバーターエアコン、電気温水器などです。配線の振動が原因となることもありますが、これらは故障ではありません。
ジー
ブレーカーから「ジー」という異音がする場合は、ブーンという異音同様、ブレーカーに過電流が流れている可能性があります。
ブレーカーのスイッチには、金属でできたバイメタルとう部品が内蔵されています。この部品は、ブレーカーがONになっていると電気が流れる仕組みになっており、過電流が流れると電気の熱で変形するものです。「ジー」という音は、バイメタルが変形する時の音です。
電気の量を減らしたり、定格電流を上げたりして対処してください。
カチカチ
ブレーカー内部のスプリングが錆びている、または劣化していると「カチカチ」という異音がすることがあります。
このカチカチ音はチャタリングと呼ばれるもので、ブレーカーが故障している合図ともいえます。内部部品の間でスパーク(大きな電流が流れる)している可能性があり、放置しておくと火災の原因になるため大変危険です。早急に電気工事店に点検・修理を依頼してください。
焦げ跡がついている
ブレーカーの一般的な寿命は10~15年程度といわれています。
ブレーカーに焦げ跡が見られる場合、ほとんどのケースで接続ネジのゆるみが原因となります。「たかが小さなネジ一つ」と思うかもしれませんが、ネジの緩みで接触抵抗の値が増え、電気が流れにくい状態になってしまいます。すると、発熱量が増加し、発火に繋がるのです。
ですから、たとえ小さな焦げ跡であっても、危険なことには変わりありません。
ブレーカーに焦げ跡が付いている時は、ただちに電気工事店に修理・交換を依頼してください。
頻繁にブレーカーが落ちる
電気を使い過ぎているわけではなく、異音や焦げ跡などの目立った不具合も見られないのに頻繁にブレーカーが落ちるケースもあります。
このケースは、単にブレーカーの寿命が原因であると考えられます。
ブレーカーの設置から10年程度経過しているのであれば、故障の可能性はまずます高いため、電気工事店に交換を依頼してください。
アンペア数を変更したい
電気の使い過ぎでアンペアブレーカーが頻繁に落ちる・異音がするといったケースや、引越しやライフスタイルの変化により電気を使う量を増やしたいといたケースでは、アンペア数を変更する必要があります。
スマートメーター導入済みであれば、電力会社が遠隔でアンペア変更を行うため、変更の申し込みをするだけでOKです。しかし、アナログ式の電気メーターを使用している場合、契約アンペア数を変更する際にブレーカーの交換工事が必要となります。アンペアブレーカーの交換工事は、基本的に電力会社の業者が行うことになります。
ブレーカーを寿命以上に使用した際に起こる危険性
「多少の不具合なら放っておいても大丈夫だろう」「家のブレーカーは特に問題ないから何十年も使い続けよう」…このように考えていませんか?ブレーカーを寿命以上に使用すると、さまざまなリスクが発生します。
ここでは、ブレーカーを寿命以上に使用することで起こる危険性についてご説明します。
火災のリスク
ブレーカーは電気回路に過電流が流れた際に遮断して火災を防ぐ重要な機能を果たしています。寿命以上に使用されると、ブレーカーが正常に作動しなくなり、過電流が制御できなくなる可能性があります。これにより、電気配線や機器が過熱し、火災のリスクが高まります。
漏電の増加
漏電ブレーカーには、漏電を検出して電気供給を遮断する安全装置が組み込まれています。寿命を超えて使用されると、ブレーカーの内部部品が摩耗し、正確な漏電検出が難しくなる可能性があります。漏電が検出されずに放置されると、感電の危険性が高まってしまうのです。
機能停止
寿命以上に使用されたブレーカーは、それぞれの機能性が不安定になり、いつ動作を停止するか予測できません。ブレーカーが予告なく機能停止すると、電気設備や機器が突然動作しなくなり、生活や業務に支障をきたす可能性があります。
修理困難性
寿命を超えたブレーカーは通常、製造元が提供する保証やサポートの範囲外になります。したがって、故障や不具合が生じた場合に修理することが難しく、新しいブレーカーへの交換が必要になります。
一般的に、電子ブレーカーのメーカー保証は1年程度です。長くても6、7年程度ですので、寿命に近づくにつれ保証を受けられる可能性が低くなります。また、修理を依頼しても部品欠如で結局交換しなければならないケースがほとんどです。
周辺機器への悪影響
寿命以上に使用されたブレーカーが正常に機能しないと、電気設備や機器に異常が生じる可能性があります。これにより、接続された機器が故障したり、損傷を受けたりするリスクが生じます。
分電盤やブレーカーの故障が原因で、エアコンや冷蔵庫、電子レンジなどの家電製品が一度に故障した事例は実際にあります。ブレーカーの交換を怠っていたことで、家電製品を全て買い替えなければならないとなると、金銭的にも多大な損害になることでしょう。
参考:分電盤のトラブルで冷蔵庫、電子レンジ、エアコンが一度に故障した(消費者トラブル解説集)_国民生活センター
ブレーカー交換の一般的な費用相場
ブレーカー交換を専門業者に依頼するとして、最初に気になるのが修理費用ではないでしょうか。費用がいくらかかるかによっては、予算が合わずに交換のタイミングを延期せざるを得ない場合も有ると思います。ここでは、ブレーカー交換の一般的な費用相場をご紹介します。
分電盤を交換する費用相場
住宅用分電盤を丸ごと交換する場合、交換工事の費用相場は20,000円~になります。
この費用はあくまでも交換工事の作業費用ですので、分電盤の処分費用や出張費が別途加算される場合があります。
そのため、分電盤を交換するのに50,000円以上かかるケースもあるのです。分電盤の大きさによっても前後することがあります。
大きめの分電盤を交換する場合は高額な出費になりやすいため、交換を依頼する前に複数の業者から見積りを取るようにしてください。
ブレーカーを交換する費用相場
各ブレーカーを交換する費用相場は、ブレーカーの種類によって異なります。
ブレーカーの種類 | 交換の費用相場 |
---|---|
アンペアブレーカー | 5,000円 |
漏電ブレーカー | 10,000~20,000円 |
安全ブレーカー | 7,000円 |
上記はあくまでも相場(平均)となるため、実際の見積もりや工事費用は異なる場合があります。工事費用を正確に知るためにも、依頼する工事業者に見積りをしっかりと出してもらうことが大切です。
ブレーカーの交換時期かな?と思ったら電気工事店に相談してください
この記事では、ブレーカーの役割から寿命、交換するべきタイミング、寿命を超えたブレーカーを使用する危険性まで解説しました。
不具合のあるブレーカーをそのまま使用すると、火災のリスクや漏電の危険、修理の困難化、周辺機器への悪影響などさまざまな危険性を生じます。これらはどれも発生してからでは解決が難しいものばかりですから、未然に防ぐことがなりより重要です。
「ブレーカーの交換時期かな?」と思ったら、寿命以上にブレーカーを使用してリスクを生じさせる前に、ブレーカーの交換を依頼しましょう。
分電盤やブレーカーの交換工事を行うには、電気工事士の資格が必要です。無資格の人が交換作業や配線に触れることは法律で禁止されています。感電や火災のリスクもあるため、必ず電気工事士に作業してもらうようにしてください。
DENKI110では、ブレーカーの交換工事や漏電修理などを承っております。工事依頼や不具合箇所の点検など、専門家の力が必要でしたら、お気軽にご相談ください。
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