漏電ブレーカーが復旧できない!原因と対処方法を徹底解説!
漏電ブレーカーが落ちると、住宅全体が停電するため、驚いてしまうことでしょう。
日常生活で急に電気がつかえなくなって復旧が必要なときは滅多にありませんよね。もし、いきなり部屋の電気が消えたら、地域一帯が停電していない限り、ブレーカーが落ちたことが原因と考えられます。同時に多くの電化製品を使っていないにもかかわらず停電した時は、漏電してしまった可能性があります。
この記事では、主に漏電ブレーカーについて、以下の内容を解説します。
- ブレーカーの種類と特徴
- 漏電が原因でブレーカーが落ちる理由と仕組み
- 漏電ブレーカーが落ちた際の復旧方法
- ブレーカーが落ちるのを防ぐ対策方法
【漏電ブレーカーとは?】各ブレーカーの種類と特徴
まずは、漏電ブレーカーとはどのような装置のことなのか、その特徴や構造をご説明します。また、この機会に、分電盤に配置されている各ブレーカーについての基本知識も習得しておきましょう。
漏電ブレーカーの特徴と構造
主に住宅の玄関付近にある分電盤には、アンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーの3つのブレーカーが配置されています。このうち、漏電ブレーカーの特徴的な構造をみていきます。
漏電ブレーカーの復旧ボタンとは
漏電ブレーカーには黄色や白色の復旧ボタンがあります。このボタンは、ブレーカーが漏電を検知して作動し、電気回路を遮断した後、再び電気回路を通すために使用されるものです。
漏電ブレーカーが働いた際に、ユーザーが手動でブレーカーをリセットできるように設計されているのです。(※復旧ボタンがない場合もあります。)
トリップ位置
一般的に、漏電ブレーカーには回路を遮断したことを示すトリップ(Trip)位置があります。漏電が検知されブレーカーが作動すると、ハンドルがこのトリップ位置に移動します。漏電が解消された場合、漏電ブレーカーの復旧ボタンを押して、ブレーカーをリセットできます。
アンペアブレーカー・安全ブレーカー
漏電ブレーカーのトラブルに適切に対処するには、アンペアブレーカー・安全ブレーカーについてもある程度知っておくと良いです。
アンペアブレーカー
アンペアブレーカーは、電力会社と契約しているアンペア数以上の電気を使用した際に落ちるブレーカーです。契約アンペアによってブレーカーの色が異なり、「10Aは赤」「15Aは桃」(東京電力の場合)というように分けられています。
近年普及しているスマートメーターを導入している場合、スマートメーターがアンペアブレーカーを兼ねるため、基本的には分電盤にアンペアブレーカーがありません。
安全ブレーカー
安全ブレーカーは、回路ごとに使用できる容量を超えた電気を使用した際に落ちるブレーカーです。漏電ブレーカーが漏電遮断器と呼ばれるのに対し、安全ブレーカーは配線用遮断器と呼ばれます。回路ごとに小さなスイッチがいくつも配置されています。
漏電が原因でブレーカーが落ちる理由と仕組み
漏電するとなぜブレーカーが落ちるのでしょうか。その理由は、ブレーカーの仕組みや構造と深い関係があります。
漏電とは?
漏電は、電気回路から電気機器やアプライアンスを通じて地面などへ電流が逃げる現象です。
通常、電気回路は導体(配線や機器)と絶縁体(絶縁材料や絶縁空気)から構成されており、電流は導体内を流れるべきです。しかし、何らかの理由で導体と絶縁体の間に隙間が発生すると、電気の「逃げ道」ができます。
つまるところ、本来電気が流れないはずの場所に電流が流れてしまうのが漏電なのです。
ブレーカーが漏電を検知して動作する仕組み
主に電気の使い過ぎが原因が落ちるアンペアブレーカー・安全ブレーカーとは性質が異なる漏電ブレーカー。どのような仕組みで漏電を検知して作動しているのでしょうか。
漏電ブレーカーの構造
漏電を検知して回路を遮断する主要な部品は、漏電ブレーカー内に組み込まれた漏電保護装置(RCD:Residual Current Device)です。漏電保護装置があることで、人が手動で電気の供給を止めずとも、自動で停止させることができます。
トランスフォーマー原理
RCDは、トランスフォーマー(transformer/変圧器)の原理を基に動作します。過電流が流れるのを防いだり電気が外に漏れ出るのを阻止したりするため、電気回路の通り道にトランスフォーマーが配置されます。ですから、通常は入力と出力の電流が同じであるはずです。
漏電検知
通常は入力と出力の電流が同じでありますが、漏電が発生すると一部の電流が導体から漏れて地面などに流れ、トランスフォーマーを通る電流が不一致となります。
電流不一致でブレーカー動作
トランスフォーマーが検知した電流の不一致が一定の基準を超えると、漏電ブレーカーは回路を即座に遮断し、電気供給を停止させます。
漏電ブレーカーが検知できる電流の量(感度電流値)は15mA~30mAくらいからです。火災の発生リスクが生じる電流値は数百mA~数Aくらいからですから、火災が起こる以前に漏電を検知し、電気供給を止められるのです。
漏電ブレーカーが動作する主なケース
一般的な漏電ブレーカーは、トランスフォーマーを通る電流の不一致が数mAと微小であれば作動しません。JIS規格でも定格不動作電流が定められており、その数値以下であればトリップしないのです。では、具体的にどのようなケースで漏電ブレーカーが動作するのでしょうか。
人体への感電防止
もし電気機器などから電流が漏れてしまい、人体に触れることで漏電が発生する場合、漏電ブレーカーが瞬時に回路を遮断し、感電を防ぎます。
人体に電流が流れると、その数値に比例して危険性が高まります。3mA程度の電流であれば、ビリっとした刺激を感じるでしょうが、生命の危険はありません。しかし、数mA~10mA以上になると身体が麻痺状態になる恐れがあり、数十mAになると命に危険を及ぼします。
人命が危険にさらされる数十mAまでの漏電を検知し、ブレーカーは動作するのです。
漏電ブレーカーの復旧方法と落ちる原因
ここでは、漏電ブレーカーが落ちる原因の再確認と、落ちた際の復旧方法を解説します。
漏電ブレーカーが落ちる原因
漏電ブレーカーが落ちて停電した時、漏電箇所をある程度特定するためにも、漏電ブレーカーが落ちる原因を確認しておきましょう。
漏電の発生
電気設備や電化機器で漏電が発生すると、漏電ブレーカーが落ちます。漏電は通常、絶縁の劣化や機器の故障によって引き起こされるものです。漏電で漏れた電流が数百mA~数Aに及ぶと火災が発生する恐れがあるため、漏電を検知し、おおよそ0.1秒以内の瞬時に電気の供給を止めます。
感電防止
漏電は人体に感電の危険をもたらすため、漏電保護の観点からブレーカーが働きます。
漏電ブレーカーが落ちた時の復旧方法
漏電ブレーカーが落ちると、家全体が停電して周りが見えなくなる可能性があります。そんな時は、慌てて家電製品のコンセントを抜いたり、機器のスイッチを操作したりしないようにしてください。落ち着いて次の復旧方法を実践しましょう。
1.原因の特定
落ちた漏電ブレーカーを復旧する場合、まず漏電の原因を特定する必要があります。主な原因として、故障した電気機器や配線、絶縁の劣化などが考えられます。「どの家電製品を使用したらブレーカーが落ちたか」など、可能な限り情報を整理してみてください。
2.ブレーカーをオフにする
漏電ブレーカーが落ちたら、まずは手動で安全ブレーカーをオフにします。スイッチ類をすべて「切」の状態にし、漏電ブレーカーのハンドルを一番下まで下げればOKです。
これによって電気回路が遮断され、安全な状態になります。停電している場合は、転倒や家具などへの衝突に十分注意をし、懐中電灯などで最低限必要な明かりを確保しましょう。
3.漏電箇所の特定
漏電箇所を特定するには、安全ブレーカーのスイッチを順番に「入」にしていきます。その途中で再度漏電ブレーカーが落ちることがあります。その場合、ブレーカーが落ちた時に「入」に切り替えた回路が漏電しています。
4.漏電源の切断
漏電の原因となる電気機器や配線が特定できたら、その回路のスイッチを「切」の状態にしておきます。漏電箇所以外の回路は一つずつ「入」に切り替えてください。
その後、漏電が発生している部分を修理または交換します。配線の断線や機器の故障が考えられるため、むやみに分解したり修理を試みたりしないようにしてください。
5.絶縁の確認
配線や電気機器の絶縁状態を確認し、劣化が見られる場合は修理または交換が必要です。ブレーカーを「切」にしてあるため安全性は確保されていますが、不安がある場合は無理に配線や電気機器に触れないようにしてください。
6.漏電ブレーカーのリセット
漏電修理が完了したら、漏電ブレーカーを手動でリセットします。これにより電気回路が再び閉じられます。漏電ブレーカーのハンドルを一番上まで上げれば、通常通りブレーカー機能を果たします。
【専門家の助言を大切に】 もし漏電の原因が特定できない場合や、電気設備の修理が難しい場合は、専門の電気技師に相談し、診断と修理を依頼しましょう。ブレーカーを目視で調査する程度ならご自分でも可能ですが、「配線に触る」「ブレーカーを交換する」などの作業には電気工事士の資格が必要です。 |
漏電ブレーカーが復旧できない場合
機器の故障や絶縁劣化
電気機器や配線などが故障し、絶縁が劣化して漏電が発生している場合は、漏電ブレーカーはが回路の電流を遮断し、感電や火災などの事故を防ぐため、ブレーカーが復旧できない原因になります。
【Q】漏電していないのにブレーカーが落ちる原因は? 【A】梅雨などに湿度が上がるとブレーカーが落ちることがあります。また、コンセントが湿っている場合も落ちることがあります。電化製品は水気に弱く、機器内部やコンセント、配線などが水に濡れると漏電のリスクが高まります。 「漏電していない」と思っていても、実際には漏電しているケースも少なくありません。頻繁にブレーカーが落ちる場合は専門業者に漏電修理をお願いした方が良いでしょう。 |
ブレーカーが落ちるのを防ぐ対策方法
漏電ブレーカーもそうですが、アンペアブレーカー・安全ブレーカーが落ちると、そのたびに復旧しなければならず面倒です。また、あまり頻繁にブレーカーが落ちると、ブレーカーに負担がかかり故障の原因にもなりかねません。
そこで、ブレーカーが落ちるのを防ぐ有効な対策方法をご紹介します。
使用電気量を減らす
アンペアブレーカー・安全ブレーカーは、基本的には電気の使い過ぎで落ちます。そのため、対策方法としてもっとも効果的なのは、電気の使用量を減らすことです。
アンペアブレーカーの場合
同時に使う電気の量を、契約アンペア数以内に収めるようにしてください。例えば、20Aで契約しているのであれば、21Aの電気を使うとブレーカーが落ちる原因となります。
安全ブレーカーの場合
安全ブレーカーが落ちるのを防ぐには、回路ごとの電気容量を超えないようにしなければなりません。一般的には20Aが上限とされていますが、1つのコンセントで使う電気は15A以下が望ましいです。なぜなら、日本の一般家庭における定格電流が15Aだからです。定格電流を超えた電流が流れ続けると、発熱や発火の原因になります。
コンセントを分ける、増設する
家電製品を複数使用したい時は、コンセントを分けることで15Aを超えないようにしましょう。マルチタップを差しても、1つのコンセントで使える電気の量が増えるわけではないので注意してください。むしろ、マルチタップの多用はたこ足配線の原因になるため避けた方が良いです。
家のコンセントの数が足りないと感じた場合は、コンセントの増設も検討してください。電化製品をよく場所にコンセントを増設すれば、便利に効率よく機器が使用できます。
漏電の対策をする
漏電ブレーカーが落ちる主な原因は「漏電」です。ブレーカーが落ちないようにするためには、漏電が起きないよう普段から対策をする必要があります。具体的には以下の方法が挙げられます。
- 電化製品や配線が水濡れしないようにする
- 水回りで使うコンセントにはアース線を取り付ける
- コンセントや電源プラグを定期的に掃除する
- 電化製品のコード類に負担をかけたり曲げたりしない
- 高温多湿の場所ではなるべく電化製品を使わない
- 老朽化した製品や寿命を過ぎた製品は交換する
漏電対策自体はそれほど難しい内容ではありませんので、1つでも多く実践してみてください。
契約アンペア数を見直す
アンペアブレーカーが高頻度で落ちる場合は、家全体の上限アンペア数が少なすぎるのかもしれません。使用する電化製品の数が減らせない場合は、電力会社との契約アンペア数を見直すことをおすすめします。
契約アンペア数を決める基準は、同時に使用する電気の量にあります。一日のうちもっとも多く電気を使う時間帯を参考に、どれだけの電気を使うか計算してみましょう。
たとえば、エアコン(6畳用で5A)とドライヤー(10A)を同時に使う場合、最低でも15A必要です。もし、アンペアブレーカーが落ちるようであれば、20Aへの変更を検討します。
定期的な点検と保守
どのブレーカーにも言えることですが、再度同じトラブルを発生させないためには、定期的な点検と保守が有効です。家電製品と同じで、ブレーカーや分電盤にも寿命があります。一般家庭のブレーカーの交換時期は13年程度が目安です。
もし、ブレーカーが故障していた場合、漏電していない、あるいは使用電気量に問題がなくともブレーカーが落ちることがあります。どこに原因があるのか判断が難しいところですので、業者に依頼して定期的に点検してもらうのが良いです。
ブレーカーが落ちて困った時は電気の専門業者に相談しましょう
漏電ブレーカーは漏電した時、アンペアブレーカーや安全ブレーカーは電気を使い過ぎた時に落ちる仕組みになっています。
電気の使い過ぎであれば、使用する電化製品の数を減らしたり契約アンペア数を増やしたりすることで対処できます。
しかし、漏電が原因の場合は、漏電箇所を特定し、漏電修理を行う必要があるのです。漏電箇所が分かったとしても、配線やブレーカーの修理交換ができるのは電気工事士の資格を持った人に限られます。
素人の作業は感電や火災の原因になるため絶対に避けてください。ブレーカーが落ちて困った時は、電気の専門業者に相談しましょう。
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