アース付きコンセントの工事の流れを徹底解説!アース線のメリットも教えます

コンセント

アース付きコンセントとは、アース線が付いたコンセントのことです。安全に家電製品を使用するのに欠かせないもので、電子レンジや洗濯機、エアコンなどさまざまな機器で用いられています。

元からあるアース線をコンセントのアース端子に接続する作業はご自分でも可能です。しかし、アース付きコンセントの新規設置工事や増設工事、設置工事(アース棒を地面に埋設してアース配線に繋ぐ工事)を行うには電気工事士の資格が必要です。
アース線が付いた家電製品を購入したなどでアース付きコンセントを新たに設置したい時は、資格を持った人に工事を依頼するようにしましょう。

この記事では、次の内容を詳しく解説します。

  • アース線とは何か
  • アース付きコンセントの工事の流れ
  • アース付きコンセントを設置する費用
  • アース付きコンセントのメリット

アース線について知りたい人や、アース付きコンセントの設置を検討している人は、ぜひこの記事を参考にしてください。

目次

アース線(接地線)とは?どんな役割がある?

アース線(接地線)は、家電製品などの電気機器についている緑と黄色の配線です。主に漏電した時の感電事故を防ぐ目的で取り付けられます。アース線はコンセントのアース端子(接地端子)に接続することで、その役割を果たします。

アース線をコンセントのアース端子に取り付ける作業に資格はいらないため、ご自分でも可能です。しかし、アース付きコンセントがなく新たに設置したい場合は資格が必要です。

アース線の役割は感電防止

電気は電気抵抗の低い場所に流れやすい性質を持ちます。アース線がないと、万が一漏電した時、電気抵抗の低い人体に電気が流れてしまい大変危険です。
しかし、アース線があれば、人体よりも電気抵抗の低い銅線から地面に向かって電気が流れます。アース線があることで、人体の感電リスクを大幅に軽減することができるのです。

アース線の接地工事には4種類がある

アース線を伝って電気を地面に流すには、銅線を接地極(アース棒)と呼ばれる金属棒に接続し、地面の奥深くに埋め込む作業が必要です。この作業を「接地工事」といい、必要な接地抵抗値(電気の流れやすさ)によって工事の内容が異なります。接地工事はどの種類でも電気工事士の資格が必要ですので、資格のない人は作業しないでください。

接地抵抗値が高すぎると電気が流れやすく、万が一家電製品の故障などで漏電が起きた時に、電位上昇が生じてしまいます。すると、人が触れた時に感電しやすくなってしまうのです。接地抵抗値が低ければ低いほど人体への影響が少なく、感電リスクも減少します。

ここでは、設置工事の4種類をご紹介します。

A種接地工事

高圧用の電気機器の金属製外箱や高圧用機器、特別高圧用機器の鉄台が対象の接地工事です。接地抵抗値は10Ω以下になります。一般家庭でこの工事が行われることはほとんどありません。

B種接地工事

高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側に行う接地工事です。接地抵抗値は150Ω以下になります。

C種接地工事

300V以上の低圧用機器の外箱や鉄台が対象です。接地抵抗値は10Ω以下になります。

D種接地工事

300V以下の低圧用機器の外箱や鉄台が対象です。接地抵抗値は100Ω以下になります。一般家庭や工場などではD種接地工事が行われます。アース線の太さが1.6㎜以上のものを用います。ルームエアコンのアース付きコンセントを設置する際はD種接地工事が必要ですが、DIYでは作業できません。電気工事の資格を持った人に作業をお願いするようにしましょう。

アース線が必要な家電とは?

家電製品にアース線をつけないと、漏電した時や製品が故障した時に感電したり火災につながったりする恐れがあります。

そこで、2022年12月に、電気工作物の設計や施工、維持、検査に関する技術事項を定めた「内線規程」が改訂されました。新しい内線規程では、一般家庭のコンセントは全てアース付コンセントにすることが「推奨」から「勧告」に変わっています。

また、一部の場所に設置するコンセントに関しては、アース付きコンセントが義務付けられました。これに伴い、アース付きコンセントの設置が必要な家電を以下にまとめます。

  • 大型家電製品
  • エアコン(一部のモデル)
  • 洗濯機
  • 冷蔵庫、冷凍庫
  • 衣類乾燥機
  • 食器洗い乾燥機
  • 電気温水器
  • 電子レンジ
  • 自動販売機
  • 雨線外に設置するコンセント
  • キッチンや厨房、洗面所、トイレに設置する家電製品

また、義務化の対象には入っていませんが、次のような家電も安全のためにアース線をつけることをおすすめします。

  • 電気ヒーター
  • 電気こたつ
  • 電気毛布
  • 電気ストーブ、オーブン
  • 電気ポット
  • パソコン

人が直接触れる家電製品は、常に安全な状態にしておきたいものですね。

アースコンセント工事の方法と流れを解説

アース付きコンセントを使用するには、アース工事が必要です。ここでは、アース工事の方法と流れを解説していきます。

1.接地工事を行う

壁のコンセントにアース線が配線されていない場合は、屋外で接地工事を行う必要があります。

接地工事は、建物から近い場所に穴を掘り、アース棒を地中に埋め込み、ハンマーで打ち込む作業です。アーステスターを使って接地抵抗値を計測し、問題なければ土を戻します。接地抵抗値が下がりにくい時は、接地抵抗低減材を使用します。

建物外部にアース線を配線し、アース棒と接続したら、屋内の作業に移ります。アース線の太さは直径1.6mm以上のものが使用され、ブレーカーの電流容量に応じて決められます。

2.既存のコンセントを取り外す

感電防止のため、ブレーカーを落としてから作業します。

コンセントのプレートをドライバーで外し、配線を取り外したら、取り付け枠やコンセント本体も取り外しましょう。既存のコンセントは保管するか、必要なければ処分します。

3.アース付きコンセントを取り付ける

電線の動線部分をビニールテープで絶縁したら、壁の穴などからアース線を通します。

室内に引き込んだアース線をアース付きコンセントに差し込みます。電線(白い中性線と黒い電圧線)もコンセントに差し込んだら、壁に取り付けましょう。取り付け枠やプレートを固定したら、取り付け作業は完了です。

念のため、アース工事が終わった後に接地抵抗値を測定してください。一般家庭で行われるD種接地工事では、100Ω以下にならなければいけません。ただし、ブレーカーに定格感度電流100mA以下、動作時間0.5秒以内の漏電遮断器が付いている場合は500Ω以下で良いとされています。

※接地工事やコンセントの取り付け作業には、電気工事士の資格が必要です。DIYで行う場合は、必ず有資格者が施工してください。

アース工事にかかる費用の目安とは?

一般家庭にアース線を導入するには、アース工事が必要です。すでにアース線がコンセントまで伸びており、通常のコンセントをアース付きコンセントに変更するだけであれば、5,000円~8,000円程度になります。

しかし、建物の中にアース線が来ておらず、分電盤からコンセントまでアース線を引く工事が必要な場合は、10,000円~30,000円程度の費用がかかります。また、アース工事に関して全く手つかずの状態であれば、接地抵抗値を抑えるためにD種接地工事が必要で、その際の費用は15,000円~30,000円程度です。

業者によっては、現場調査費や出張費などが別途発生することもあるため、自宅のアース線の状況をしっかり伝えた上で、アース工事にかかる費用を確認しておきましょう。

アース付きコンセントがあることのメリットとは?

ここでは、アース付きコンセントがあることのメリットをご説明します。

避雷の働きをする

雷による被害は、雷が直撃する直撃雷と電源線やケーブルを通じて機器にダメージを与える誘導雷サージの2つがあります。パソコンや電子レンジなどの家電製品においては、誘導雷サージによる被害が圧倒的に多くを占めます。

アース付きコンセントがあれば、機器に侵入する電流を大地に流すことができるため、避雷の働きをしてくれます。逆流雷サージを防ぐためには、雷サージを併用するとより安全です。

感電防止になる

家電製品の電気は通常、電源コードの中を通っています。しかし、漏電でその電気が外に漏れてしまった場合、接触した人に電気が流れてしまう(感電する)恐れがあるのです。

アースは人よりも電流を多く流す性質があるため、感電を防止することができます。

電化製品の損傷を軽減する

電化製品から発生する電磁波やノイズは、人の電磁波過敏症を誘発したり、機器本体の故障に繋がったりすることがあります。

アース付きコンセントは、そういった電磁波やノイズを大地に逃がすことができるため、電磁波過敏症を防ぐ効果や電化製品の損傷を軽減する効果が期待できます。

関連記事:アース付きコンセントはなぜ必要?特徴や役割を教えます

アース付きコンセントの設置工事は専門業者に任せましょう

この記事では、アース付きコンセントの工事の流れやアース線のメリットを解説しました。

アース工事は、家電製品を安全に使用するのに必要不可欠です。エアコンや冷蔵庫、電子レンジのような日常的に使用する家電製品をはじめ、水回りの家電製品には設置が義務付けられています。

すでにアース付きコンセントがある所には、ご自分で家電製品のアース線を接続できます。しかし、アース線が必要な場所にアース付きコンセントがない時は、新規で設置しなければなりません。アース工事は専門性の高い工事のため、電気の知識や技術を持った電気工事士の有資格者でなければ施工できません。資格のない人がDIYで行うことは大変危険ですので避けてください。

アース工事以外にも、コンセントやスイッチの交換修理には資格が必要です。資格のある人に頼めない場合は、専門業者に任せるのが一番です。

『DENKI110』では、アース付きコンセントの工事以外にも、コンセント工事・スイッチ工事・分電盤工事など、あらゆる電気工事に対応しております。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考サイト:DENKI110(電気工事)

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