漏電ブレーカーのテストボタンって何?使い方から対処法まで解説します!
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漏電とは家電製品などで、本来の目的である電気回路以外に電気が流れ出ることです。そして、漏電を感知し、電気を遮断して災害を未然に防いでくれるのが、漏電ブレーカです。このブレーカは、人体への感電や、発火して火災にまで発展する可能性のある漏電を防ぐために、住宅の分電盤内に配置されています。
そんな重要な装置でもある漏電ブレーカが「ちゃんと漏電を感知するのか?」「故障していないか?」と考えたことはありませんか?漏電ブレーカには、テスト用のボタンが配置されているので「試しに動作を確認してみたい」と思ったこともあるでしょう。
今回は、漏電ブレーカのテストボタンについて、動作確認の方法や、不具合時の対処法を解説させていただきます。
また、漏電とは何かや、症状、解決法などはこちらで詳しく紹介しています。併せてご参照ください。
漏電ブレーカーのテストボタンはどこにある?
まず、写真のような分電盤の場合、中央に配置されているのが漏電ブレーカです。「50A」と表記があるのはアンペアブレーカと呼ばれますが、このブレーカはスマートメータに更新済の場合や、電力会社の契約方式によっては、省かれるケースもあります。ご自宅の分電盤を確認してみましょう。
そして、ブレーカ本体の写真の位置にテストボタンがあります。このボタンを押すことで、疑似的に漏電したときと同じ状態がつくり出されるので、疑似漏電を感知したブレーカは電力を遮断します。
ここでひとつ確認しておきたいのは、このテストボタンは、漏電が発生しているかをチェックするボタンではない、ということです。漏電ブレーカについているテストボタンなので「自宅のどこかで漏電が発生していないかを確認するボタン」と勘違いする人がいるかもしれませんが、そうではなく「漏電ブレーカが漏電を感知したとき、自動で遮断することを確認するボタン」ということです。
ちなみに、テストボタンの上にある黄色いの部分は、ブレーカが動作したときに突出して、トリップしている状態であると知らせる役割があります。テストボタン下のトリップボタンは、ブレーカの開閉動作を機械的に確認するボタンであり、定期点検のときなどに使用します。
漏電ブレーカーの仕組みについて
漏電ブレーカ(遮断機)はどのように漏電を感知するのでしょうか?自動販売機が漏電したときを例にとって考えてみましょう。
電力は、屋外の電線から住宅内に取り込まれ、漏電ブレーカを経由して自動販売機に到達します。正常な電路を電力が通過するとき、漏電ブレーカに流れる「行き」と「帰り」の電流は同じ値になります。ところが、自動販売機が漏電していると、漏電電流として漏れ出た電流は、アース通って大地へ流れてしまいます。正常に電路に戻ってくる電流もありますが「行きの電流値=漏電電流+帰りの電流値」となってしまい、「行き」と「帰り」の電流値に差ができるのです。
電流値に差ができると零相変流器が反応して、そこに磁界が発生し、設定された値を超えると電子回路を経由して遮断器部が解放され、自動的に電力が遮断されるのです。
このように漏電を感知するには、対象の家電製品がアースに接地されている必要があります。漏電している家電製品に人が触れて、人体に漏電電流が流れることでも漏電を感知できますが、感電災害が発生してしまい危険だといえます。接地工事が施されていれば、漏電した瞬間にブレーカが動作して、電力を遮断してくれます。
また復旧時の注意点として、トリップした漏電ブレーカのレバーは、ONとOFFの中間あたりにあります。レバーを操作して、一度完全にOFFの状態にしてからでないとONの状態にはできません。覚えておきましょう。
漏電ブレーカーの役割とは
漏電ブレーカーは電気を安全に使うために設置されています。漏電が起こった時などに人の命や安全を守るために、電気が使えなくなるといった処置をとります。
漏電時の役割
ブレーカーの漏電時の役割は、下記で説明する被害が起こらないように電気をストップさせることです。
漏電の被害は感電や火災などがあります。こうした被害が出る理由は以下のような経過が考えられるからです。
たとえば、電源ケーブルの上に大きな荷物を置いたとします。そうすると、荷物の重みのために、ケーブル絶縁被膜にキズがつき、中に隠れていた導体が外部に出て電気が漏れます。この状態が漏電です。
この漏電が原因で感電する場合を説明します。感電とは電気が人の体に流れることです。
たとえば、洗濯機で漏電が起こり、知らずに手を触れてしまうと感電する恐れがあります。その場合、電流が指先から足に向かって流れます。この電流が1~5mAならば、静電気と変わらない少量なので、ちょっとした衝撃のみです。
しかし、20mA以上だと、筋肉が萎縮し、洗濯機にさわったままの状態になります。そんな状態になると、常に体に電流が供給されるようになるため、感電死する可能性があります。
そんな時、助けになるのが漏電ブレーカーです。漏電を感知して電気が流れない状態にします。
漏電ブレーカーのチェック
上記で説明した漏電ブレーカーがきちんと作動するかチェックする方法を説明します。
①漏電ブレーカーのテストボタンの位置を確認する。
②テストボタンを押してみる
③テストボタンにより、停電状態になり、黄色の部分が突出しているか確認→確認できればOK
④上記がOKであれば、60Aと明記されているレバーを下まで下げてオフの状態にする→再びオンにする(復旧作業)
テストボタンが反応しない場合はどうする?
漏電ブレーカのテストボタンを押したのに動作しない場合、以下の理由が考えられます。
漏電ブレーカの1次側に電気が来ていない
漏電ブレーカに電気が来ていないと、疑似的に漏電をつくり出せないのでテストボタンを押しても動作の確認はできません。1次側につながっているアンペアブレーカなどのメインブレーカをONの状態にして、動作確認をしましょう。
内部回路の故障
長期にわたって使用しているブレーカであれば、内部回路が故障している可能性もあります。また、内部へのホコリの侵入による接点の導通不良も考えられます。トリップボタンがある場合は、その開閉動作も確認してみましょう。
以上のような理由により、ブレーカが動作しない場合は、資格のある専門の業者さんに相談するようにしましょう。漏電ブレーカが正常に動作しないと、漏電による感電が発生した場合に、電力が遮断されないので危険な状態だといえます。
よくある漏電のケース
ここからは、よくある漏電ケースの紹介です。
①ケーブルの断線
気付かぬうちにケーブルが断線していたというケースです。考えられるのは、ネズミがかじったり、ケーブルの上に椅子やテーブルなどが置かれていて圧力で断線したりといったことです。
②電化製品
電化製品の劣化で漏電するケースがあります。電化製品は年月が経つと、本体の劣化のみでなく、絶縁処理部分も劣化して漏電します。
しかし、漏電しても問題なく使用できるので、気付かぬうちに漏電しているケースは少なくありません。
また、コードやプラグが劣化のために破損して、そこから漏電が始まることも考えられます。破損部分から漏電してしまうケースです。
③水による漏電
たとえば、炊飯器がシンクのそばに置いてあり、食器洗いの際にコンセントやプラグに水がかかってしまう場合です。濡れた部分に電気が通って漏電します。
テストボタンが反応しないときは、業者に相談しよう
漏電ブレーカの動作確認の方法がわからない、ご自身では判断できない、という場合は専門の業者さんに相談するようにしましょう。漏電ブレーカが正常に動作すれば、漏電時の災害も最小限に抑えられます。
電気の保安協会では、4年に1度の定期点検が実施されていますが、ご自身でも定期的にブレーカの動作を確認すると良いでしょう。また、漏電ブレーカが落ちると、住宅全体が停電となるので、注意が必要な場合もあります。漏電ブレーカに電力がかかっていない場合は、テストボタンを押しても反応はありません。覚えておきましょう。
ブレーカーが落ちる原因や対処法はこちらに記載しましたので併せてご参照ください。
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