ブレーカー【パナソニック:BJF 350325】電気使い過ぎのトラブル事例解説!

漏電

電子レンジや電気ケトルなど消費電力の大きい家電を使うと、ブレーカが落ちることがあります。常時稼働することが多い家電は、エアコン、冷蔵庫、テレビなどですが、冬場であればここに、こたつやホットカーペットなどの暖房器具も加わります。常時稼働する家電が増えると、電子レンジなどの消費電力が大きい家電を使ったときにブレーカが落ちやすくなるのです。

また、電気の使い過ぎでブレーカが落ちるとき、通常はアンペアブレーカが落ちますが電気の使い方によっては、漏電ブレーカが先に落ちることもあります。

今回は、実際に電気の使い過ぎで漏電ブレーカが落ちた事例を交えながら、当日の調査内容をわかりやすく解説させていただきます。

目次

夕食の支度をしていたらブレーカが落ちた

「夕食の支度をしていると決まってブレーカが落ちる。ほかの時間帯は落ちないので、調査してほしい」というご依頼を、横浜市のお客様からいただきました。IHクッキングヒーターを使用されていることから、電気の使い過ぎでアンペアブレーカが落ちてしまうケースのようです。

現地に到着し、お客様に話を伺うと、落ちるのは漏電ブレーカとのことでした。「IHクッキングヒーター、炊飯器、換気扇を使うとアンペアブレーカではなく、漏電ブレーカが落ちる」ということなので、まずは漏電を疑って調査を開始します。

分電盤のアンペアブレーカの刻印を見ると、2011年5月と表記されており、住宅も分電盤も築10年程度と推測できます。最初に、クランプメータで安全ブレーカの負荷側の2本をはさんで漏電がないかを確認します。漏電のない正常な回路では行きと帰りの電流値が同じになるので、クランプメータで2本をはさむとお互いに打ち消しあい、測定値は0となります。漏電がある場合は、漏れ出た電流値が測定されます。

共立電気計器公式ページより:https://www.kew-ltd.co.jp/products/detail/00183/

ちなみに、使っているクランプメータは、はさみこむセンサー部の形状が細くなっており、せまい箇所の電線も問題なく測定できるのでおすすめです。

安全ブレーカの負荷側の測定値は、全て0となり現状では漏電していません。続いて、絶縁抵抗計にてアースと電路の絶縁抵抗を測ります。アンペアブレーカのみをOFFにして、分電盤のアースに黒リードを接続し、赤リードを電路側にあてて測定します。100Vの回路なので、使用レンジは125V、合否判定値は0.1MΩですが、結果は100MΩ以上と問題のない数値でした。漏電している可能性は極めて低くなりました。

ブレーカ【パナソニック:BJF 350325】の漏電調査を完了

クランプメータと絶縁抵抗計で測定した結果、漏電している状況は確認できませんでした。漏電ブレーカが落ちたのは、漏電が原因ではないと判断できそうです。漏電でない場合は、過電流による電力の遮断が考えられるので、ブレーカの交換もしくは電気の使い方を工夫する必要があります。

今回の住宅の分電盤には、60Aのアンペアブレーカの下に50Aの漏電ブレーカが配置されています。この場合、50Aの漏電ブレーカのほうが容量が小さいと思われがちですが、実際は100Aのアンペアブレーカに相当するのです。

東京電力公式ページより:https://pgservice1.tepco.co.jp/2020/08/21/blackout-2/

単相3線式の電路の場合、赤線と白線から100Vが供給できます。さらに黒線と白線からも100Vが供給できます。安全ブレーカを配置するときは、赤白間と黒白間の供給量が同じになるように接続されます。

「30A」と表記されたアンペアブレーカは、赤線側と黒線側のアンペア数の合計が30Aを超えると、電力が遮断されます。

東京電力公式ページより:https://pgservice1.tepco.co.jp/2020/08/21/blackout-2/

少しややこしいのですが、「30A」と表記された漏電ブレーカは、赤線側に30A、黒線側に30Aを流すことができます。赤線側、黒線側のどちらかが30Aを超えると電力が遮断されます。なので、赤線側に30A、黒線側に30Aが流れているときは、合計60Aを流すことができるのです。以上のことから、アンペアブレーカと漏電ブレーカは、同等の容量であることが望ましいです。

今回の住宅のように、アンペアブレーカが60A、漏電ブレーカが50Aだった場合、極端な使い方ですが、アンペアブレーカの赤線側に60A、黒線側に0Aだった場合はアンペアブレーカは落ちません。ですが、50Aの漏電ブレーカの赤線側に60A流れてしまうと、ブレーカは落ちてしまいます。電力会社との契約により60Aまで使えるのに、漏電ブレーカが電力を遮断してしまうことになるのです。

以上のような内容を、簡単にお客様に説明しました。「IHクッキングヒーターを使うときは、電子レンジや炊飯器、電気ケトルの使用を避ける」ということで、お客様にも納得していただけました。これで、調査は完了です。後日、必要であれば、漏電ブレーカを50A→60Aに交換するかもしれません。

電気の使い過ぎの場合どう対処する?

家電のアンペア数の目安について

ご自宅で使用する家電がどのくらい電力を消費するかを調べるには、カタログに記載された消費電力から導くことができます。

電流(A)=電力(W)÷電圧(V)

電圧は100Vなので上の式から、家電のアンペア数は、消費電力を100で割った数値となります。

パナソニック公式ページより:https://panasonic.jp/range/products/ne-fs301.html

例えば、こちらのパナソニックオーブンレンジの場合、レンジの消費電力が一番大きく1430Wとなるので、アンペア数は最大で14.3Aになります。

最近の家電のカタログには、消費電力値が記載されず、年間消費電力量のみ記載されるケースが多いです。とくに冷蔵庫はその傾向が強いので、参考値として「450L程度の冷蔵庫のアンペア数は2.5A」を目安にしましょう。ちなみに、冷蔵庫はサイズが小さくなると消費電力が大きくなる傾向があります。

東京電力から提供されている、家電の種類別による「アンペア数の目安」や「わが家のアンペアチェック」も参考にしましょう。

家電の同時使用を避ける

ご自宅で使用する家電には、常に稼働しているものと、必要な時だけ使うものがあります。

上の表のように、常時使う家電と一時的に使う家電を分けると、常時使用する家電の合計アンペア数は12.5Aになりました。電力会社との契約アンペア数が30Aの場合は、残りは(30-12.5=)17.5Aとなります。電子レンジと洗濯機(13+4=17A)は同時に使えそうですが、電子レンジと炊飯器(13+5=18A)を併用すると、ブレーカが落ちそうです。このようにして、数値から併用可能なもの、そうでないものを判断できます。

関連記事『漏電遮断器で漏電をチェックしよう! 向き不向きの選び方を解説!』も併せてご参照ください。

アンペア数を上げる方法

家電を併用できないことが不便に感じる場合は、契約アンペア数を変更しましょう。

東京電力管内では、使用できる最大アンペア数の数値を選んで契約できます。東京電力のページから、インターネット経由でも変更手続きが可能です。

近年ではスマートメーターが普及しており、内蔵されるブレーカ機能がアンペアブレーカの役割を果たします。スマートメータが導入済みの住宅では、遠隔操作でアンペア数が変更されるため、ご自宅でブレーカの交換などの作業が発生することはありません。

従来通り、アンペアブレーカ配置されている住宅でも、アンペア数の変更を申し出るとスマートメータの導入を勧められることが多いです。ご自宅の電気の使用状況をデータで確認することもできるので、スマートメータへの更新も検討してみましょう。

漏電ブレーカが落ちていたら、すみやかに調査を依頼しよう

今回の事例のように、結果的には電気の使い過ぎが原因でしたが、それは調査をしてみないとわかりません。専門の業者さんであっても、漏電ブレーカが落ちていたら、まず最初に漏電を疑います。測定機器を駆使して「漏電ではない」と判断できれば、感電や火災の心配がなくなるので、そのあとの調査を安心して行うことができます。

電気の使い過ぎの場合は、使い方を工夫することでも対処できますが、万一漏電していた場合は、その箇所を特定して、漏電を解消させる必要があるのです。漏電ブレーカが落ちていたら、すみやかに信頼のできる業者さんに相談するようにしましょう。

『DENKI110』では、漏電の調査や、契約アンペア数の変更に伴う作業にも迅速に対応しております。資格を持った作業員が担当しますので、お気軽にご相談くださいませ。

※ページ内に記載されている金額は一例です。対応業者や対応箇所の状況によって実際の金額が異なる場合があります。


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