近年、電気代値上げによる各家庭の省エネ節電が課題となっています。そんな中、少しでも電気代を安くするために
「エアコンの買い替え」を検討する人が増えています。
というのも、最新のエアコンは消費電力が少なく、
電気代が安い傾向にあるからです。
また、古くなったエアコンは故障のリスクが高く、急に使用できなくなる可能性があります。寒さや暑さで辛い思いをしないためにも、余裕を持って買い替えておくと良いでしょう。
気になる症状がある時は、まず専門業者に調査を依頼するところから始めてください。
この記事では、実際の施工事例をもとにした
【エアコンの交換取り付け工事】の内容をご紹介します。
10年以上使用しているエアコンに不具合が発生
先日、お客様より「10年以上使用しているエアコンの調子が悪いので調査してほしい」とのご依頼をいただきました。
お客様がご使用になられているのは、
三菱電機のルームエアコン「MSZ-SV28TS-W」です。
こちらの商品は、2005年に発売されたもので、購入から15年程度経過している可能性もあります。人気の霧ヶ峰シリーズですが、使用年数が長いため、不具合が生じてもおかしくはないでしょう。
「風は出るが冷えない」「フタ(ルーバー)が途中で閉まってしまう」という2つのトラブルが発生しているとのことです。まずは、お客様のご自宅に訪問し、エアコンを拝見することになりました。
エアコンの点検調査にて経年劣化を確認
お客様がご使用中のエアコンを点検調査したところ、
経年劣化による故障が確認できました。
吹出口の羽根には風向きを上下に調節するフラップ、左右に調節するルーバーの2種類があります。お問い合わせの際にお伺いしていた通り、エアコン運転中にルーバーが途中で閉まってしまい、リモコン操作でも動きません。
また、エアコンから冷風が出てこない症状も確認できました。調査の結果、今回は
いくつかの原因が複合して起きた故障と判断しました。
- フィルターや内部の汚れ
- ルーバーを動かすモーターの故障
- 冷媒ガスを送り出すコンプレッサーの故障
メーカー側の補修用性能部品の保有期間は9年。修理に必要な部品を確保することが難しいこともあり、交換工事を実施することになりました。
三菱エアコン(MSZ-GV4022S-W)への交換取り付けを実施
点検調査の後、お客様にエアコンの交換をご提案させていただきました。ご承諾を得ましたので、新品エアコンを取り寄せ、後日工事対応させていただきました。
ここでは、実際の工事内容をもとに、エアコン工事の方法と手順を解説していきます。
エアコンをMSZ-SV28TS-WからMSZ-GV4022S-Wに交換する手順
1.ポンプダウンを行い冷媒ガスを回収する
ドライバーを用意し、室外機の側面にあるカバーのネジを外し、ポンプダウンを行います。
2本の配管のバルブキャップを外し、応急運転スイッチを押してエアコンを強制冷房運転させたら、六角レンチで
細い配管(送り側)のバルブを閉めます。
3~5分後、今度は
太い配管(受け側)のバルブを閉め、エアコンを停止させます。太い配管のサービスポートの虫ピンをレンチで押し、「プシュ」という短い音が出たら冷媒ガス回収は成功です。
2.室外機の取り外し・撤去
電源プラグをコンセントから抜き、配管のバルブキャップを付けたら、
細い配管⇒太い配管の順で取り外します。
次に、黒・白・赤の3色の配線をペンチで切断します。配線が接続されている所から10㎝程度先の
灰色の部分が切断箇所です。
地面の台座を取り外し、室外機を撤去します。
3.室内機の取り外し・撤去
配管やドレンホースを覆う
化粧カバーと配管穴のパテを取り除き、ドレンホースをカッターで切断します。今回、再利用の予定がないため、まとめて撤去しました。
続いて、配管も切断し、室内機本体を壁から取り外します。壁に固定された
据付板のネジをドライバーで外し、まとめて撤去します。
4.室内機の取り付け
三菱エアコン「MSZ-GV4022S-W」に付属する
据付板とネジを用意し、ドライバーで壁に固定します。
室内機の
電線固定具の中の端子台に電線を接続し、室内機を取り付け、配管とドレンホースを束ねて配管穴に引き出します。
ちなみに、室内機は2階、室外機は1階に設置するため、配管とドレンホースは通常よりも長くなりました。※追加工事になること、追加料金が発生することは事前にお客様にご承諾を得ています。
5.室外機の取り付け
室外機を地面に設置し、配管を接続します。配管は切断後に
バリ取りとフレア加工という処理が必要です。
スパナとトルクレンチを用い、室内側、室外側と順に接続します。
6.真空引き・リークテスト
以下の手順で冷媒ガスを解放します。
- 室外機側のサービスポートと真空ポンプにチャージホースを接続する
- 低圧バルブと高圧バルブを全開にし、真空ポンプを10~15分運転させる
- ゲージが「-0.1MPa」になったらバルブを閉めて真空ポンプの運転を止める
- 3分程度待ち、ゲージマニホールドの針が戻らないことを確認する
- チャージホースを外し、二方弁を反時計回りに90℃回す
- 二方弁と三方弁を全開にしてキャップを締め付ける
- リークテストを行う
リークテストは、ガス漏れがないかを確認するための作業です。石鹸水を吹きかけ、
泡が出なければ問題ありません。
7.配線の接続と試運転
部屋に戻り、電源プラグをコンセントに差し込み、応急運転を行います。エアコンの運転やリモコン操作に異常がなければ、取り付け工事は完了です。
三菱エアコン「MSZ-GV4022S-W」機能と特徴
- 2022年4月発売の霧ヶ峰GVシリーズ
- 除湿の強さを設定できる除湿運転「選べる3モード除湿」
- 最大電流値を約25%抑えて運転する「ピークカット」
- エアコン内部を乾燥させてカビ菌を抑制する「内部クリーン運転」
- 運転開始時にイヤなニオイを抑制する「スタート脱臭」
- 部屋の温度に合わせて自動で運転を行う「高温みまもり」
エアコンの寿命と故障前の前兆について
エアコンの一般的な寿命は約10年といわれています。10年以内であれば、不具合が発生した時、パーツを交換して修理することが可能です。
しかし、9~10年経過してメーカーの部品保有期間が過ぎると、修理が難しくなり、買い替えを検討する必要が出てくるでしょう。
エアコンが故障する前兆は主に以下の5つです。
モーターやコンプレッサー、内部基板の故障によるもの
配管接合部の不良によるガス漏れ、エアコン内部の汚れなど
モーターやコンプレッサー、ファンなどの故障によるもの
エアコン内部のカビや汚れが主な原因
フィルターの目詰まりやガス漏れ、部品の故障などが原因
エアコンの汚れなどはクリーニング、ガス漏れはガスの充填で解決する場合がありますが、部品の故障は修理が必要となるため、業者に対応してもらいましょう。
参考記事『エアコンの寿命は何年?壊れる前に確認する方法を教えます!』
10年以上使用しているエアコンは買い替えを検討しましょう
今回は、「風は出るが冷えない」「フタ(ルーバー)が途中で閉まってしまう」というエアコントラブルにお悩みのお客様からのご依頼でした。
点検調査の結果、エアコンを交換(三菱製MSZ-SV28TS-WからMSZ-GV4022S-W)して解決しました。古いエアコンの場合、内部部品が故障していても
メーカーに補修用部品を注文することが難しいです。省エネ効果や電気代節約を踏まえ、10年以上使用しているエアコンは買い替えを検討しましょう。
今回のお客様は、買い替えを機に冷暖房能力の高い機種に交換されました。
以前よりもエアコンの効きが良いと喜んでいただけて幸いです。
DENKI110では、エアコン取り付けやエアコン修理、エアコン移設、エアコン専用コンセントの増設などに対応しています。お困りの際はぜひお問い合わせください。
参考サイト: DENKI110(電気工事) ※ページ内に記載されている金額は一例です。対応業者や対応箇所の状況によって実際の金額が異なる場合があります。
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