暮らしの初めて物語: 電子レンジ
今や一家に一台、一人暮らしの若者にも必須の家電といえば電子レンジ。電子レンジの第一号機はアメリカで発売されました。1945年アメリカの軍事産業レイセオン社でレーダー技術者として働いていたパーシー・スペンサーは、レーダー用のマイクロ波発生装置のマグネトロンの前に立っている時にポケットの中に入れていたチョコレートが溶けた事に気付きました。不審に思った彼はポップコーンを用意してこれにマイクロ波を当てます。すると、ポップコーンがはじけて部屋中に散乱しました。この事からマイクロ波に物を加熱する効果がある事が判明。これが電子レンジの基本原理の発見となりました。
電子レンジの初めて
レイセオン社はスペンサーのこの発見の2年後に世界初の電子レンジ(アメリカではmicrowave ovenと呼ばれます。直訳すると「マイクロ波オーブン」)を発売します。日本ではそれに遅れること12年、1959年(昭和34年)に東京芝浦電気(現 東芝)が国産一号機を開発すると他メーカーも次々と商品を発売し始め、1960年代に徐々に普及し始めます。が、この頃はまだ一台数十万する業務用モデルのみでした。
電子レンジの歴史
66年には家庭用ターンテーブル式レンジ国産一号機が発売され、67年には電子レンジの調理終了時の報知音に「チン」を採用した製品が登場。現在でも使う「レンジでチンする」は電子レンジ調理の代名詞となりました。
とはいえ、決して順風満帆だったわけではなく、朝ドラ『とと姉ちゃん』の元ネタとなった雑誌『暮しの手帖』では1975年から1976年にかけて特集を組み、「電子レンジ―この奇妙にして愚劣なる商品」と題した記事を掲載し酷評します。当時『暮しの手帖』の商品テストは、消費者から高い信頼を得ていたため、電子レンジに対してのネガティブなイメージは、一部後年まで残ることとなったようです。
ただ、ガスなど火を使わずボタンを押すだけで料理を温めることができる便利さは、核家族化が進んだ日本のニーズにマッチし、普及していきました。メーカーサイドの性能向上の努力、低価格化などもあり、現在ではほぼ100%近い普及率までになりました。
電子レンジの現在
2004年には業界初の“水で焼く”のキャッチフレーズで過熱水蒸気で調理する「ヘルシオ」が発売され、余分な油や塩分を落とす新たな調理機器として、人気となります。2011年にはレンジとグリル機能を併せ持つ「レンジグリル」が発売されました。IOT(モノのインターネット)やAI機能などの搭載も今後さらに期待され、まだまだ電子レンジ進化は止まらないようです。
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