暮らしの初めて物語: 浄水器
家庭用浄水器が最初にブームになったのは、高度経済成長の真っ只中、東京オリンピックの頃と言われています。今回は今回は浄水器の初めてに迫ります。
浄水器の初めて
昭和30~40年代は都市の人口が増え、水俣病やイタイイタイ病といった公害病など、水源地の水質汚染などが問題になっていた時期でした。この頃の浄水器は、活性炭によって水を濾過するだけでしたので、臭いや有機物は取り除けても、雑菌までは除去できませんでした。また塩素まで取り除いてしまうため、使用法によっては浄水器の中に雑菌が繁殖するという問題もありました。昭和40年代後半には「浄水器内に雑菌が繁殖」と報道され、物議を醸しました。
浄水器の歴史
そもそも日本の水道水には水道法の定めにより、次亜塩素酸が給水栓(各家庭の蛇口など)の時点で必ず残留するように添加されています。いわゆるカルキくさいというのはこの塩素によるもので、ウイルスや、大腸菌をはじめとする有害な微生物、有機物などが混入していても塩素の効果により無害化されることになります。
カルキくささはなくしたいが、雑菌なども取り除きたい…。そこでメーカー各社は、活性炭の量を減らして塩素が残るようにした改良型を発売しましたが、活性炭の本来の効果も減少してしまうという新たな悩みを抱えることになります。
その後メーカーは「銀添加活性炭」を開発し、雑菌の繁殖を抑えるろ過剤の開発に成功します。さらに昭和50年代後半には中空糸膜(ちゅうくうしまく)という素材を使ったタイプが登場しました。中空糸膜とは、直径が約0.4ミリと細い糸にマカロニのような穴があいており、それを何千本、何万本と束ねたものです。この穴に水を通すと、細菌やサビ、濁りなどを取り除くことができるというもの。この中空糸膜は医療業界でも効果が認められたものです。
しかし、トリハロメタン、トリクロロエチレン、ウイルスなどを取り除くことはできなかったようです。そこで活性炭と中空糸膜を組み合わせることによって新たな浄水器が生まれました。
世界に先駆けて中空糸膜を使用した浄水器を製品化したのは1984年発売の三菱レイヨンの浄水器「真清水」とされています。これは人名から名付けられたというエピソードが残っています。1986年には「水は東レのトレビーノ」のキャッチコピーで有名なトレビーノが発売されました。
浄水器の現在
以降様々なメーカーが浄水器を発売し、現在では蛇口に取り付けるタイプ以外に、ビルトインタイプ(システムキッチンの屋内配管に組み込むもの)、タンクタイプ、持ち運びできるボトルタイプなどが出ています。ミネラルウォーターを買わなくても、外出先できれいな水が飲めるのはありがたいですよね。
余談ですが、ミネラルウォーターではよくある天然水以外に、波動水、パイウォーター、アルカリイオン水、アルカリ還元水など効果があるのかないのか怪しい機能水が多数発売されてきました。芸能人を広告塔にし、CMで大々的に宣伝したり、ネット広告をしたりしていますね。2017年時点で、機能水の中で有効な臨床データを有するのは電解還元水、アルカリイオン水、酸性イオン水(強酸化水)のみとのことです。ご参考まで。
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