エアコンの専用コンセントは必要?理由からわかる重要性について解説!
近年の日本の夏は、昔に比べて「暑くなった」と感じることが多いのではないでしょうか?実際に、東京で1990年代の10年間に記録された猛暑日は37回なのに対し、2010年代の10年間では79回と倍以上に増えています。ここまで暑くなってしまった日本の夏を乗り切るには、エアコンは必須の家電製品だといえます。
いままでエアコンを設置していなかった部屋にも、エアコンを新設するという場合も多いでしょう。そんな時に、エアコン専用のコンセントがなくて困ったことはありませんか?エアコンを新設する場合、新品のエアコンを業者さんに依頼して設置してもらうことが多いと思いますが、業者さんには「エアコン専用のコンセントがないと設置できない」と断られてしまいます。
なぜ、エアコン専用のコンセントが必要なのか?ご自身で設置工事をした場合、延長コードなどを利用して部屋のコンセントから給電しても良いのか?さらに、コンセント増設工事の費用相場などについて、詳しく解説させていただきます。
エアコン専用コンセントについて
最近の新築住宅では、エアコンが設置されることを前提としています。ですので、天井付近の高い位置に、エアコン用のコンセントと冷媒管を通す穴が設置されていることがほとんどです。このとき、このエアコン専用のコンセントは、住宅の分電盤から直接配線された、単独の回路である必要があります。単独の回路ということは、分電盤にそのエアコンだけのためのブレーカーがある、ということです。
コンセントの形状
コンセントの形状としては、通常よく目にする「単相100V/15A」の他に「単相100V/20A」「単相200V/15A」「単相200V/20A」があります。日本の一般家庭には、単相交流式で電気が送電されています。単相交流には2線式と3線式があり、現在では3線式が一般的となっています。2線式からは100Vの電源しかとれませんが、3線式からは100Vと200V、両方の電源をとることができます。
100Vと200Vでコンセントの形状は異なるので、間違えてさしてしまうことはありません。また、それぞれの電圧の15Aと20Aの形状も異なりますが、容量の大きい20Aのコンセントに、容量の小さい15Aの電源プラグはさせるようになっている場合が多いです。逆に、15Aのコンセントに20Aの電源プラグは物理的にさせないようになっています。
6~12畳用のエアコンは100V仕様、14畳以上の広い部屋用のエアコンは200V仕様であることが多いです。とくに広い部屋用に冷暖房能力の大きいエアコンを導入する際は、コンセントの形状も確認するようにしましょう。なお、200Vのコンセントを使う際には、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 契約している電流の量は十分か
- ブレーカーに空きはあるか
- 電圧線は単相3線式か
これらの条件を満たしていなければ200Vのコンセントを使用することはできないため、新たに設置工事をおこなう場合は必ずチェックしておきましょう。
なんでエアコン専用コンセントが必要なの?
日々技術は進歩しており、省エネ性能に優れたエアコンの消費電力は減少する傾向にあります。とはいっても、エアコンの電源を入れた直後などは全力運転を行うため、そのときの電流値は10畳用のエアコンであっても、14A(通常運転時には8.6A程度)に達することもあります。おおよその目安ですが、電子レンジが15A、冷蔵庫が2.5A、液晶テレビが2A、くらいなので、エアコンは電気を多く消費する家電製品だといえます。
エアコンのように、電気をたくさん消費する電化製品には専用回路を設ける必要があります。専用のコンセントがない場合には、新設や買い替えの際の取り付け時に、工事を断られることがあるので注意しましょう。
それぞれのコンセントで使用できる消費電力
家庭で使われているコンセントやブレーカーには、同時に流せるアンペア数に上限があります。よく目にする一般的な100Vのコンセントに流せる電流は15Aまでなので、ひとつのコンセントで合計1500Wまで使うことができます。そして分電盤のブレーカーに流せる電流は20Aなので、100Vのひとつのブレーカーの回路で合計2000Wまで使うことができます。さらに大きな電力を必要とする、広い部屋に適したエアコンでは、「単相100V/20A」や「単相200V/20A」のコンセントが必要です。200V/20Aなら、4000Wまで使うことができます。
一般的なコンセントに流せる電流は15Aであり、10畳用のエアコンの最大電流値が14A程度なことから、容量的には他の家電製品をつないで使う余裕はなさそうです。もし、他の家電製品を使って併用とした場合は、頻繁にブレーカーが落ちることになります。さらに過電流により配線やコンセント自体にも負荷がかかり、火災にまで発展する恐れもあります。民間の規格である「内線規程」には、定格電流が10Aを超える据え置き形の大型電気製品には、別の専用分岐回路を設けること、とされています。法律上の義務はなく、国の規制でもありませんが、電力会社などが電力供給するにあたり施設を検査する際にはこの内線規程が判断基準として用いられることが多いです。火災にまで発展する危険性もあり、自社の責任も問われることになるので、エアコンの業者さんも「専用のコンセントがないと設置工事はできない」と判断しているのです。
いつからエアコン専用コンセントが必要になったの?
現在でも法的に義務化されている訳ではありませんが、エアコンの設置工事をお願いすると「専用コンセントの追加工事が必要です」とコンセントの新設を促されてしまいます。なぜかというと、それは万一のときに責任問題に発展するからです。「専用のコンセントが必要だとわかっていたにもかかわらず設置せずに、火災による事故を招いてしまった。この責任はエアコン設置工事をした業者にある」と指摘される可能性が高いということなのです。
もし、ご自身でエアコンを設置し、部屋の既存のコンセントから延長コードで電気を供給した、とします。このとき一番心配なのは、大きな電流が流れることによる発熱での延長コードの破損です。通常、屋内配線にはVVF2.0mmかVVF1.6mmを使用します。条件にもよりますがVVF2.0mmの許容電流値は23Aで、VVF1.6mmは19Aとされています。エアコン専用コンセントならVVF2.0mmを使用するはずなので、200V/20Aの電源が必要なエアコンでも問題ありません。この部分を、延長コードで代用するということは危険なことなのでしょうか?
通常、電源タップのような延長コードは、コンセントと同様の仕様になっており100V/15A、1500Wの使用に耐えられるようになっています。一見、6~10畳用の消費電力の低いエアコンなら問題なく使えそうです。ただ、通常コンセントへの配線は隠ぺい配線であり、どこで分岐しているのか?どの太さの配線が使われているのか?などは、目視で確認できません。そんな隠ぺい配線部分に許容値ギリギリの電流を流すのは、どちらかといえば危険と判断できそうです。併用する家電製品が増えるごとに、危険度も増していくでしょう。一日中稼働し続けることもあるエアコンに関しては、他の負荷の影響がない専用回路を使うほうが安全であり安心だ、といえます。
コンセント設置・電源周りの工事費用の相場
エアコン専用のコンセントを設置する場合、「エアコン設置」とは別に「コンセント工事」の費用が発生します。一般的なエアコン専用コンセント工事の費用相場は、次のとおりです。
- 工事費:10,000円〜30,000円程度
- 配線材料費:2,000円〜5,000円程度
ただし、上記の金額はあくまで目安であり、条件によって正確な金額は異なります。基本的に、以下の要素によって金額が変動することが多いです。
【配線距離】
エアコンの設置場所から既存の電源までの距離が長いほど、配線に必要な材料と工事の労力が増えるため、費用が上がる可能性があります。
【配線ルート】
配線のルートによって工事の難易度が異なる場合があります。例えば、壁の内部に配線を引く必要がある場合や、天井に配線を設置する必要がある場合は、追加の工事や材料が必要になります。当然ながら配線ルートが複雑なほど、費用は高くなります。
エアコン専用のコンセントから給電しよう
自己責任でどうしても部屋のコンセントを利用したいという場合は、分電盤でそのコンセントがつながっているブレーカーを突き止め、その回路をエアコン専用にする、さらに他の家電製品との併用はしない、ということが徹底できれば問題はなさそうです。必ず使用するエアコンの最大消費電力の値を確認して、1500W以内で使用するようにしてください。隠ぺい部の配線状況がわからなかったり、分電盤でブレーカーの回路が特定できないようであれば、通常はエアコン専用のコンセントのからの給電をおすすめします。
また、広い部屋にエアコン設置する場合、200Vや20Aの仕様であることが多く、コンセントの形状が異なる場合もあります。エアコンの取り付け工事は電気工事士の資格を必要としないので、業者さんによってはコンセントの追加工事ができないケースもあるでしょう。その点『DENKI110』に相談すれば、電気工事士の資格のある経験豊富なスタッフが、迅速に対応してくれます。是非、お気軽にご相談下さいませ。
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