エアコンの仕組みと内部構造!冷房・暖房や室外機の故障トラブルについても解説

エアコン

エアコンは、涼しい風や暖かい風を室内に送ることができる、どんな季節も活躍してくれる頼もしい空調家電製品です。 寒いときには暖房を運転してあたたかくし、暑いときには冷房を運転して涼しくしてつらい季節を乗り切ることのできる、「家庭の必需品」ともいえるでしょう。

では、エアコンというのは、どうやって温風や冷風を作り出しているのでしょうか。

涼しい風のみを送る扇風機や、温風のみを送るファンヒーターなどと違い、エアコンはその両方をこなすことできる万能品です。そして、そんな万能な品だからこそ、「うまく起動しない」、「風がなかなか来ない」などの劣化や故障とは別の不具合が起こりやすいため、こまめな手入れが必要になります。

本記事では、以下の内容を詳しく解説します。

  • エアコンの仕組みや内部構造
  • エアコンの構造上、起こりやすいトラブル
  • エアコンの冷媒ガスの種類と特徴
  • エアコンの除湿機能とは何か

エアコンを使う上で知っておきたい項目についてまとめました。 エアコンが動かないのは“故障が原因”とすぐに考えてしまう気持ちはわかりますが、まずは下記を見たうえで、本当に故障なのか、エアコンの構造上で不具合がでているのか確認をしてください。

目次

エアコンは空気の熱を交換することで機能する

まずは、エアコンの仕組みについて解説していきます。

エアコンは、エアコン本体(室内機)と室外機の二つがセットで初めて機能します。
この二つの機器はパイプによってつながっており、その中には、冷媒というガスが巡回しています。 冷媒は空気の熱だけを吸収し、エアコン本体や室外機に内蔵された熱交換器によって吸収した熱を放出するというエアコンに必要な役割を持ちます。

下の図は冷房運転しているときの冷媒や熱の動きを表したものです。室内の熱を吸収した際、冷媒がその熱を室外機まで運び、室内の熱を追いだした後、次の室内の熱を運ぶためパイプを通って室内に戻っていくのがわかります。

エアコンの熱交換の仕組み

エアコンの風は冷房の場合は室内、暖房の場合は外気から熱を吸収します。それを「コンプレッサー」という室外機にある圧縮機で高温にし、熱交換機から放出しています。

これにより、熱を奪われた風が冷風となり、熱の少ない冷気は温風になります。

エアコン一台で冷房と暖房の両方で使用できるのは、冷媒や熱交換器、コンプレッサーなどさまざまなパーツがあるからなんですね。

エアコンの熱交換の仕組み

上の図では、冷房運転のときの温度変化の様子を表しています。

エアコンは室内から約30℃の熱を吸収したのち、室外機の熱交換機から熱を放出しやすくするために圧縮機によって80℃の高温に変えています。外気にでた熱は60℃の熱風となり、残った熱は圧力弁によって温度が低下し、再度室内機の熱交換器に向かいます。(暖房の場合は逆の巡回をおこないます)

エアコンの仕組み上、起こりやすい問題

エアコンの仕組みはご理解いただけたでしょうか?

エアコンは以上のような仕組みで、室内に冷風や温風を送っています。 ですが、エアコンの仕組み上、「起こりやすい問題」というのがいくつかあるのです。

エアコンの問題は自身の力で解決できるものから、業者が必須になるものまでがあるので、まずは下記の状況に該当するかどうか、可能な限り確認してみましょう。

①冷媒がないと熱交換できないので冷えない/暖まらない

エアコンのイメージ

冷媒がガス欠などの原因で少なくなる、または冷媒がなくなると、空気の熱を吸収する物質がなくなります。すると、エアコンを起動しても部屋を冷やしたり暖めたりすることができなくなります。

ガス欠を見分ける方法は様々ですが、自身でも確認できる簡単な方法が二つあるのでチェックしてみてください。

エアコン本体内部のフィルターを取り外し、鉄製のギザギザの部品「熱交換器」に霜がついているかどうかを確認します。この時、熱交換器に霜がついている場合はエアコン本体からガス漏れを起こしている可能性が高く、室外機の細いパイプに霜がついている場合は室外機からガス漏れを起こしている可能性が高いです。

どちらのガス漏れも、運転して約20分ほどで霜が付きはじめるので、その際は専門の業者に依頼しましょう。ガス欠はほとんどがエアコン設置時の施工ミスが原因の場合が多いので、施工した業者に頼めば無料で修理してもらえることが多いです。

②ドレンホースが詰まるとドレンパンの水が排水されないので本体から水が滴る

"ドレンパンの水を排水するイメージ図

エアコンの室内機から発生するドレンパンの水は、本来ドレンホースという室外へ伸びた専用のホースを通じて流れていきます。しかし、その水とともにエアコンが吸い込んだ部屋のホコリや汚れなど、エアコンが空気の入れ替えの際に吸い込んだものも一緒に流れていきます。

エアコンが水漏れする原因のイメージ図

それらの汚れがドレンホース内で溜まってしまい、詰まりを起こすことがあります。汚れの詰まりによって水の流れがせき止められ、エアコンの本体まで逆流してしまい、水漏れを起こすのです。

室内機の水漏れは、詰まりの原因であるよごれを取り除くことで解決します。
掃除機などを使って自身で取り除くことが可能ですが、作業は自己責任でお願いします。自身がない場合は業者に依頼してください。

③室外機が異常に熱を発すると、システム保護のために停止する

エアコンの室外機が一定以上の熱を持ちはじめると、エアコンと室外機のシステムを守るために保護回路が自動的に機能を停止することがあります。夏場によく起こるトラブルです。

室外機が異常に熱を発すると、システム保護のために停止する

たとえば、室外機にカバーをかける、まわりに多くの物が置かれたりしていると、室外機が新鮮な外気の風を吸い込んで室内の空気の熱を放出することができなくなります。そのため、室外機が異常を感知してエラー停止します。

原因として考えられるのは、室外機周辺に風の流れを悪くするものが置かれていることです。このような場合に停止してしまったときは、室外機のまわりのものを一定距離(約30㎝ほど)まで離し、風通しを良くすることで改善される場合があります。

もし、本体のランプが点灯するなどのエラーが出てしまい、エアコンも室外機も完全に停止してしまった場合、リモコンで一度エアコンの運転を切り、再度運転を開始する。またはエアコンのコンセントを一度抜いた後、再度差し込んでみてください。

④暖房運転中に無風状態になる

夏場と対照的に、冬場に起こるエアコンの問題もあります。 エアコンの暖房は、室外機の熱交換器(アルミフィンのこと)を氷点下まで冷やすことで室内機から温風を出す仕組みとなっています。

暖房運転中に無風状態になる理由のイメージ図

ですが、外の天気が雨や雪など湿度が多いような条件で暖房運転を続けていると、室外機の熱交換器に霜や氷がついてしまいます。エアコンの暖房の場合は、室外機の配管内部を流れる冷媒ガスの作用によってアルミフィン部の温度は0℃以下にまで低くなっているため、フィンに付着した水分はそのまま凍ってしまいます。

それが長時間続くと、室外機のアルミフィン全体が氷で覆われてしまうという状況になってしまいます。このようなメカニズムで室外機に霜がついてしまうと、暖房能力が落ち、エアコンから温風を出すことができなくなってきます。

暖房運転中に無風状態になる理由のイメージ図

この症状を防ぐための方法がほぼすべてのエアコンに備わっており、その機能が「霜取り運転」と呼ばれるものです。

霜取り運転は室外機についてしまった霜や氷を溶かすための機能で、一旦室内の暖房を停止します。
この時の室内へ送るエアコンの風は、微風または停止になるため、温風はでません。室外機もコンプレッサーの動く音はしますが、ファンが停止していることが多いです。

霜取り運転が終了するのは、運転を始めてから約10分ほどであり、終了する頃には霜が溶けて液状化し、室外機から水が出てきます。
この処理が終了すれば、普段通りエアコンを使用できるようになります。

稀に、暖房を開始する段階で室外機に霜がついたままになっている場合、先に霜取り運転をおこなってから暖房が開始される場合もあります。

⑤熱交換器に汚れ・ほこりがたまると、エアコンの効きが悪く、異臭がする

エアコンは室内の空気を吸い込み、風として吹き出すという仕組みで成り立っています。

エアコンのイメージ

室内の空気を吸い込んだ際に、一緒に目に見えない細かい塵なども吸い込んでいます。

エアコンの中に入った塵はフィルターで一度せき止められますが、さらに細かい塵はフィルターのわずかな網目を通り抜けます。この細かい塵はエアコンの中にとどまり、やがて、時間の経過とともに汚れの集団になります。そして汚れの集団がエアコンの熱交換器にたまることになります。

熱交換器に塵や汚れがたまってしまうと、エアコンを運転した際に、風と一緒にほこりや目に見えない細かい汚れのかけらも吹き出し口から放出することになるのです。すると、エアコンの風の送風が悪くなるうえ、異臭を放つ風を送ることになります。

埃によりエアコンのききが悪くない理由

室内機のフィルターや熱交換器の正面外部は自身でも清掃することが可能です。しかし、エアコンの裏側、熱交換器の内部の清掃をする場合は高い専門知識を要します。エアコンの内部清掃をおこなう場合は、業者に依頼することをおすすめいたします。

エアコンの冷媒ガスの種類と特徴

エアコンに使用されている冷媒ガスは「フロンガス」とも呼ばれています。フロンガスは家庭用エアコンやカーエアコン、冷蔵庫などにも用いられていますが、地球温暖化やオゾン層破壊の原因になる物質ということで、環境省を中心にノンフロン化が推進されつつあるのです。

それに伴い、エアコンの冷媒も地球にやさしいものが開発されるようになりました。ここでは、エアコンの冷媒ガスの種類や特徴を解説します。

R-410A(ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタン)

2000年頃から、環境に優しい代替冷媒として広く使用されています。オゾン層に対する破壊潜在性は低く、エネルギー効率も高いため、近年のエアコンによく採用されています。

複数の成分で構成される混合冷媒で、主な成分はジフルオロメタン(HFC-32)とペンタフルオロエタン(HFC-125)です。冷媒充填の際は液状に限られ、ガス抜けの場合はガスの比重が変わるため追加で補充することはできません。

不燃性の冷媒なので安全性が高いというメリットを持ちます。

R-32(ジフルオロメタン)

環境への影響が低く、高い冷却効果を持つ冷媒ガスです。地球温暖化係数が低いことから、最新モデルのエアコンはR-32を使用した製品がふえています。特に高効率のインバーターエアコンに使用されることが多く、省エネ性能が向上しています。

一つの成分から成る単一冷媒なので、冷媒充填の際は気体も液体も可能で、基本的には再充填可能です。

R-22(クロロジフルオロメタン)

かつて広く使用されていた冷媒ガスですが、オゾン層破壊物質として知られています。そのため、現在では各メーカーもR-22冷媒のエアコンを生産終了しており、使用制限がある地域も増えています。

新たなエアコンには使用されず、代替冷媒への移行が進んでいるため、R-22冷媒のエアコンを使用している方は買い替えを検討しましょう。

エアコンの除湿機能とは?種類や用途を解説

エアコンには冷房や暖房のほかに、「除湿」という機能が備わっています。エアコンは本来、冷房や暖房のために使用されますが、同時に除湿も行うことができます。

冷房と除湿のどちらの機能を使えばよいか迷ったことのある人も多いのではないでしょうか。エアコンの除湿機能は、簡単に言うと空気中の湿気や水分を取り除くための機能です。

エアコンにはさまざまな種類の除湿機能があるので、それぞれの用途や特徴を知っておきましょう。

冷房除湿

エアコンの冷房モードを利用して行われます。冷房運転では、室内の温度を下げるだけでなく、実は除湿も行われているのです。

エアコン内部の冷却コイルによって空気が冷やされ、その過程で湿気が凝結します。凝結した水分はドレンパンやドレンホースを通じて排水されます。

部屋の温度と同時に湿度も下げたい時は冷房除湿を選択しましょう。

送風除湿

エアコンの送風モードを利用して行われます。エアコンが室内の空気を循環させることで、湿気を含んだ空気が外部に排出されます。この過程で、室内の湿気が減少します。

消費電力を抑えたい時や風だけ欲しい時は送風除湿が適しています。

通常除湿

エアコンの除湿モード(ドライ)を利用して行われます。通常の除湿の仕組みは冷房除湿と似ています。エアコンが室内の空気を吸い込んだ時に、熱交換器が空気の温度を下げ、同時に水分を外部に排出させるのです。最近のエアコンには、除湿機能にも3つの種類があり、用途によって選べるようになっています。

部屋の温度を大幅に下げたくない時は再熱除湿、温度も湿度も下げたい時は弱冷房除湿、省エネ性を重視したハイブリット除湿といったように、使い分けが可能です。

エアコンの除湿機能を使うメリットとは?

除湿機能を使用すると、以下のようなメリットがあります。

快適な室内環境がつくれる

湿度の高い日や梅雨時など、室内の湿気が気になる場合に除湿機能を活用することで、快適な室内環境を維持できます。じめじめしていると、体調不良を起こしたり気分が落ち込んだりします。室内をカラッとさせれば、気分もリフレッシュできるでしょう。

除湿機能の種類によっては、電気代を節約することもできるため、電気代のことを気にせずに使えるというのもメリットになります。

カビやダニの抑制

湿度が高い環境ではカビやダニの繁殖が促進されますが、除湿機能を使用することで湿気を取り除くことができ、これらの問題を抑制できます。

カビやダニが繁殖しやすい条件に、室内温度が20~30℃で湿度が60%以上というのが挙げられます。1年の中では5月から9月頃に繁殖しやすいため注意が必要です。特に、エアコン内部はカビやダニの養分になる埃が溜まりやすいため、フィルター掃除やクリーニングもしっかり行うようにしましょう。

除湿機能を使いつつ、室内の温度や湿度を計ってみるのもおすすめです。

衣類や家具の乾燥

除湿機能を使用することで、衣類や家具の乾燥を促すことができます。湿気の多い環境では衣類や家具が湿気を含みやすくなり、カビや臭いの原因となることがありますが、除湿機能によって乾燥させることでこれらの問題を軽減できます。

クローゼットのある部屋や大切な衣類、家具のある部屋では、人がいなくとも積極的に除湿機能を活用しましょう。

即“故障”と判断せずに…

我が家に一台は設置されているエアコン。そんなエアコンが日常で使用しているのと違う動作をしたり、運転自体ができない状態になったら、まず“故障”と疑ってしまう方も少なくありません。

ですが、部品の劣化や故障が原因のものとは異なり、ホコリや汚れの詰まり、室外機の配慮など、自身のエアコンの取り扱いによって起こる、エアコンの構造上による不具合の可能性もあります。

いずれも故障という段階というわけではありませんが、不具合があるままエアコンを運転し続けていると、エアコンが動作しない、部品が壊れるなど本当の意味でエアコンが故障することになりかねません。ホコリや汚れを含んだ風の放出によって、自身や周りの人の体調も悪くしてしまう恐れもあります。

エアコンの故障を防ぐ一種の“予防”だと思い、まずは室内機フィルターや熱交換器の外部の掃除をする、室外機に置いてあるものを離すなど、自身ができることを可能なだけおこなってみてください。
掃除しても改善しない、あるいは上記の不具合が当てはまらない場合はほかの原因があるか、すでにどこかの箇所が故障している可能性が高いので、遠慮なさらず業者にお電話ください。

また、エアコンの清掃業者もいるので、単純にエアコン本体や室外機の内部、その他の箇所をきれいにしてもらうことも可能です。一見お金の無駄使いと思われがちですが、自身で掃除するよりも外側も内側も確実にきれいになるうえ、エアコン故障の予防にもつながります。

DENKI110では、エアコン修理や交換、冷媒ガス充填、クリーニングなどに対応しております。お困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。

参考サイト:DENKI110

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